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2006年3月20日 (月)

ご一緒にポテトは

 むかし、忙しくてときどきマクドナルドで昼食を済ませることがあった。
 ハンバーガーとコーヒーを頼むと、必ず「ご一緒にポテトはいかがですか?」と聞かれた。
「ご一緒に」とは何だ! と、まだ若かった僕でも「おじさん的怒り」が爆発しそうになったものだ。
「ご一緒に」なんて、ハンバーガーに対して敬語を使ってどうするんだ? 
 もちろん、マニュアルを作ってその通り言わせているのだから、女の子を非難するわけには行かない。
 たぶん元は
How about potatoes to go with?
 と言うのだろう。

 マクドナルドが何十年前だったか、アメリカからハンバーガーの「システム」を輸入するときに、マニュアルも直輸入したのだ。アメリカでは英語がちゃんと話せない店員もいるから、ぜひ言い方は決めておかなくてはならない。
 ポテトをすすめるのに、How about potatoesだけではなくて、to go withなんて一見余分なものをくっつけるのは、なかなかよく考えてある。これで9音節になるのかな。ともかく、あまり短すぎると相手に聞き取れない。
 日本語ではどうか? 
「ポテトもいかがですか?」「ポテトはいかがですか?」 
 これでどこが悪いんだろう。10音節である。
 英語でto go withと言うからといって、日本語で対応する言葉を宛てなければならないと思うなんて馬鹿正直だ。それで日本語の用法を間違えているんだから世話はない。

 そう言えば、むかし読んだ禁煙法の本の翻訳にこういう箇所があった。
 煙草を吸いたくなったら、次のような言葉をとなえましょうというのだ。
「私は煙草を吸わないようにしよう」

 笑っちゃったね。たぶん元の英語は
I won't smoke.
だろう。これだと3音節である。となえるのに1秒くらいしかかからない。
「吸わない」「吸わないぞ」「禁煙だ」くらいの訳を考える頭がどうしてないんだろう?

 それでは余計なものを切り詰めて短くすればよいかというと、それだけでは済まないのがやっかいなところだ。

To be, or not to be, that is the question.
を日本語にする。 たとえば小田島雄志氏の訳では
「このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ」
 かなり長い。しかし、むやみに縮めるわけにも行かない。
 だから英語では1時間で済む芝居が、日本語で上演すると1時間半近くかかるという話を聞いたことがある。
 あるいは、英語で早口で演説する人が出てくると、同時通訳が難渋するという話も聞いたことがある。
 どうも困ったものだ。
 

 

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