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2006年5月13日 (土)

オックスフォードかケンブリッジか(2)

Cambridgetowncentre

……さて、これから留学地選定の件を方付けねばならぬ。ケンブリッジかオックスフォードか乃至エジンバラかロンドンか、と色々思案をしたが幸い或る西洋人の紹介を持っていたから一先ケンブリッジに行って様子を見て来ようと思うて出掛て見た。これが英国内の旅行の最初である。ケンブリッジへつくと驚いたのは書生が運動シャツと運動靴で町の内をゾロゾロ歩いている。これは船を漕いだり丸を抛げたりまたは自転車へ乗る先生方であって、そして大学生の大部分はこの先生方である。それから段々大学の様子を聴て見ると先ず普通四百ポンド乃至五百ポンドを費やす有様である。この位使わないと交際などできないそうだ。尤もやり方でもっと安くも出来るが世間がそういう風だから衣服その他これに相応して高い。月謝も高い。留学生の費用では少々無理である。無理にやるとしたところが交際もせず書物も買えず、下宿に閉じ籠もっているなら何もケンブリッジに限った事はない。少しでも楽な処に行くが善いと判断した。ここにおいてケンブリッジもオックスフォードも御已めにして、この度はエジンバラかロンドンかと考え出した。……
――夏目漱石書簡 1901年2月9日 鹿野亨吉・大塚保治・管虎雄・山川真二郎宛

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