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2006年8月29日 (火)

2009年日中核戦争(5)

 Showdownに訳を付けるとすれば「決定的対決」である。元来は、ポーカーで手札をテーブルの上に出して「どうだ!」と見せることである。
 米ソ冷戦時代には、1962年のキューバ危機で核のshowdownがあった。このときはケネディが全面核戦争を辞さない姿勢を見せ、フルシチョフにキューバへのミサイル配備をあきらめさせた。一説によれば、ケネディが教会に行ったことをフルシチョフが知り、これは本気に違いないと思って折れることにしたのだという。

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 この時代の米ソの関係はMAD(Mutual Assured Destruction相互確証破壊)と呼ばれた。米ソいずれかが核ミサイルを発射すれば相手方が報復して、双方とも破滅することは確実であり、結果的に相互抑止力が働いていた。
 ところが、現在の中国に対しては核抑止力など働かないのではないか?
 2005年7月、ウォールストリート・ジャーナル紙の記者が国防大学防務学院院長の朱成虎少将にインタビューした。このとき朱少将は、台湾有事の際の対応を聞かれて
「米国が中国のテリトリー内の標的にミサイル等を使用すれば、我々としては核兵器で対応しなければならない」
「我々は西安以東の都市がすべて壊滅することも覚悟している。その代わり米国の方も数百の都市が中国によって破壊されることを覚悟してもらいたい」と述べた。驚いて問い直す記者に対して
「本土への地上攻撃だけではなく、中国のテリトリー内の中国航空機、船舶への攻撃に対しても中国は核で反撃する」と言明した。たとえば台湾に侵攻してくる中国艦船を米軍機が攻撃すれば、米本土への核攻撃で報復するということである。

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 この発言は日本ではほとんど報じられなかったが、米国には大きな衝撃を与えた。「西安以東が全滅しても構わない」というのだから、手が付けられない。米国の軍事力が中国のそれの何倍であっても無意味なのである。抑止力にはならないのだ。

 全米数百の都市に核ミサイルが降り注ぐとすれば、日本が無事のはずはない。行きがけの駄賃で全滅させられるだろう。

 本書はこの発言を検証しようとして書かれた。中国は着々と軍備増強を進めており、すでに戦争の方向に踏み出した(We believe that China has already decided in favor of war.---p.3)と著者たちは言う。
 台湾有事、新朝鮮戦争など、開戦のシナリオがトム・クランシー流の小説仕立てで語られる。2009年の日中戦争もその一つである。

第1章 次の戦争
第2章 台湾有事
第3章 第二次朝鮮戦争
第4章 カリブ海の戦争
第5章 日中戦争
第6章 中東石油戦争
第7章 マラッカ海峡
2章から7章までが開戦のシナリオである。さらに
第8章 中国とEU   
第9章 米中戦争防止策
が分析と政策提言である。
 本書は米国で6月に出版されベストセラーになった。

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