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2007年4月20日 (金)

棍棒かステッキか(6)

 さて、メラス氏は一応通訳の役目を果たして、無事解放される。しかし、悪者たちは彼が秘密を漏らしたことを知り、彼をまた誘拐した。ワトソンの筆によれば

His visitor, on entering his rooms, had drawn a life-preserver from his sleeve, and had so impressed him with the fear of instant and inevitable death that he had kidnapped him for the second time. Indeed, it was almost mesmeric, the effect which this giggling ruffian had produced upon the unfortunate linguist, for he could not speak of him save with trembling hands and a blanched cheek. He had been taken swiftly to Beckenham, and had acted as interpreter in a second interview.
  部屋を訪ねてきた男は入るなり袖から棍棒(life-preserver)を取り出して、何ならすぐにぶち殺してやろうかと脅しつけ、またメラス氏を誘拐した。彼はクスクス笑う悪党がよほど怖くて竦んでしまったらしい。そいつのことを話すだけで手が震え顔から血の気が引いた。ベクナムに連れて行かれたメラス氏は、また通訳をさせられた。

 このlife-preserverは、一回目のときに馬車の中でびゅんびゅんと振ってみせたあのブラックジャック(bludgeon)と同じですね。だから、メラス氏に対してmesmericな効果があり、彼は蛇ににらまれた蛙になってしまった。
 それで誘拐されて、危ないところを助け出されたのだ。

Gree12

 しかし、小さめの棍棒を袖の中に隠すというのは、ちょっと日本人には出来ない発想ですね。さすがにアングロサクソンの悪者は偉い。犯罪の世界もグローバリゼーションが必要だと痛感させるではありませんか。今後この方面で更なる取り組みを進めることが期待されるのであります。

 Life-preserverは『ブルース・パーティントン設計図』にも出てきます。(続く)

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