« デレッキとは何ですか? | トップページ | 棍棒かステッキか(1) »

2007年4月14日 (土)

凶器としての火掻き棒

(承前)ポウカー(火掻き棒)はまっすぐな鉄の棒で、武器、凶器として手頃だった。

……建物を捜索して、一番大きな金庫の中に不運な警備員の死体が二つ折りにして突っ込んであるのが見つかった。トゥーゾン巡査部長の迅速な行動がなければ、発見は月曜日になっていただろう。死体は背後から火掻き棒の一撃で頭を砕かれていた。ベディントンは忘れ物をした振りをして中に入り、警備員を殺して大金庫を開け、獲物を持って逃亡したに違いない。
(『株式仲買店員』)

……五分ほどたって突然、すさまじいわめき声が聞こえた。あんな恐ろしい声は生まれて初めてですよ、ホームズさん。一生、耳について放れんでしょう。一二分、恐怖に凍りついて坐り込んでいました。それから火掻き棒を掴んで、階下へ降りて行きました。この部屋へ入ってみると、窓は開けっ放しだ。マントルピースから胸像がなくなっている。泥棒が何故あんなものを取るのか、分かりませんなあ。ただの石膏で何の値打ちもないのに。
(『六つのナポレオン』)

Bust2sm


……このとき、折悪しく主人が入ってきました。怪しい物音を聞きつけたからでしょう、備えをしていました。シャツとズボン姿で、愛用の山査子のステッキを持っておりました。強盗に跳びかかって行きましたが、もう一人が、年寄りの方が、身をかがめて暖炉から火掻き棒を取り、主人をやり過ごしておいて、ものすごい一撃を加えました。主人は一声うめいて倒れ、動かなくなりました。私はまた気絶しました。
(『アベイ農園』)

 どうも物騒ですね。「愛用の山査子のステッキ」は、原文ではhis favorite blackthorn cudgelである。cudgelだから「棍棒」と訳す人が多いようだが、違うと思う。やはりステッキでしょう。これについてはまた。

|

« デレッキとは何ですか? | トップページ | 棍棒かステッキか(1) »

コメント

火掻き棒がそんなに登場するとは気がつきませんでした。
手に取りやすい所にあるからでしょうが、凶器として使われるなんて火掻き棒がかわいそうですね。
でも「まだらの紐」で曲げられてのばされただけの火掻き棒の気持ちって…。
それにステッキを護身用として使うこともこのブログで知り、勉強になりました。
杖としか思っていなかったので…どうして若い男性が持つのか、肩に乗せて持っているのか不思議だったんです。

投稿: ぐうたらぅ | 2007年4月17日 (火) 21時38分

Thank you for your comment. まだらの紐でホームズが怪力を発揮するところも、これから書きます。

投稿: 三十郎 | 2007年4月18日 (水) 09時56分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21109/6089955

この記事へのトラックバック一覧です: 凶器としての火掻き棒:

« デレッキとは何ですか? | トップページ | 棍棒かステッキか(1) »