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2007年6月15日 (金)

ホームズの木刀術(10)

 シングルスティックの試合では、相手の頭を割って流血させるのが目的だという。乱暴な話だ。ただ、トネリコの木は日本の樫の木刀ほど硬くはないから、脳震盪にはならないのではないか(と思う)。

Fig2_1

 木刀に大きな籠柄がついているのは、籠手打ちで木刀を取り落とすと試合がすぐに終わって困るからだろう。左手と脚を紐で結ぶのは何のためか? 左手を挙げて頭をガードするのでは、指を木刀で叩かれて骨折することがあるからだと思う。
 骨折は困るが頭から血が出るは構わん、というのは実に滅茶苦茶である。しかし、互いに流血させるために全力を尽くすのである。頭ばかりねらっても防がれるので、ときどき胴打ちをまじえて相手のガードを下げようとする。痛くても我慢してしっかり頭を守った方が勝者になる。
 パブリックスクールのシングルスティックは、片刃の剣の技術の練習というより、「根性養成」や「肝試し」が目的だったようだ。

 海軍では、もう少しカトラスの実戦に近い形でシングルスティックの稽古をさせた。
 写真は1876年に行われた英国海軍のシングルスティックの演武会。

Navy_1

 この時点で英国の最近の戦争はロシアとトルコを相手にしたクリミア戦争(1853-56)である。そのほかに東洋へ行って土人をいじめたのは阿片戦争(1840-42)やインド大反乱(1857-58)などをはじめ、数え切れないほどある。しかし、もうカトラスは使われなくなっていたと思いますね。現在の銃剣術と同じで、実用というよりやはり根性養成のための訓練だったのだ。

 インド大反乱に関しては、「アグラの財宝」の事件が想起される。これは実に30年後の1888年になって、インドから持ち帰った財宝がもとでショルト少佐の息子が殺された事件だった。シャーロック・ホームズが見事にこれを解決し、ワトソンは妻を見つけたのだった。

Thames_2

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