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2008年3月29日 (土)

柔道か柔術か(12)

ミュージックホールのレスリング



バーナード・ショー『バーバラ少佐』第2幕

救世軍ウェストハム宿泊施設。1月の寒い朝。25歳の乱暴者ビル・ウォーカーと46歳だが貧乏やつれで老人に見えるピーター・シャーリーが口論している。

ビル 俺を怒らせるなよ。殴られたくねえだろ。
シャーリー ふん。女を殴ったら次は年寄か? 若い男は相手にできんのか。
ビル 何をぬかす。さっき、ここに若いやつがいたじゃねえか。殴っただろう。
シャーリー へっ、あれが男か。飢え死にしかけの浮浪者だぞ。お前、わしの娘婿の弟が殴れるか。
ビル 誰だ、そいつは。
シャーリー ボールズポンドのトッジャー・フェアマイルっていうんだ。ミュージックホールで20ポンドせしめたんだぞ。日本人のレスラーと17分4秒も戦ったんだぞ。
ビル 俺はミュージックホール・レスラーじゃねえ。そいつ、ボクシングはできるのか。
シャーリー できるさ。お前はできねえだろう。

 まだ口論は続くが、「日本人のレスラーと17分4秒も戦った」男の話を持ち出されて乱暴者はすっかりおとなしくなってしまう。

 バーナード・ショーの『バーバラ少佐』が初演された1905年には、ミュージックホール・レスラーというものがあったことが分かる。
 ミュージックホールは音楽堂ではない。酒も出す大衆演芸場である。そこで試合をするのがミュージックホール・レスラーである。レスラー同士戦い、飛び入りの力自慢の挑戦も受けて立った。
 その一人にものすごく強い日本人のレスラーがいた。素人がレスラーに挑戦する場合、「勝てば何ポンド」という懸賞試合になるが、この日本人に限っては「15分以上ギブアップしないで戦えば20ポンド」という条件だった。
 この日本人レスラーはタニ・ユキオという名前だったらしい。(続く)

Yukio_tani_2

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