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2008年4月11日 (金)

スパイとスパイ小説(1)

佐藤 西木さんの『オホーツク諜報船』(角川文庫)は、ソ連諜報部によってスパイの役目を負わされる日本人漁師の物語で、私の愛読書のひとつです。あの本がロシア大使館のKGBステーションによって翻訳されているのを知っていましたか。連中は登場する人物をチェックするために、優れたノンフィクションや小説を訳して、徹底的に調査するんです。

Satou

「佐藤」は佐藤優氏、『諸君』五月号で作家の西木正明氏を相手にした対談の冒頭の発言である。
 KGBが日本の小説をロシア語に訳して参考にしているというのは、デタラメではないと思う。
 CIAだって同じことをしているだろう。日本語のできる職員が日本のスパイ小説や冒険小説を読んでせっせと梗概を作っているはずだ。『オホーツク諜報船』は西木氏によれば「限りなくノンフィクションに近い」というのだが、そういうものだけでなく、かなり荒唐無稽なものも一応チェックしていると思う。
  上層部がその梗概を読んで、これはと思うものは全文を英訳させているはずだ。最近では『ウイグルの叛乱』など、全訳したのではないかと思う。

 これは日本人の作家がウイグル族のテロ活動に荷担するという話である。ウイグル族の反政府活動家たちが北京のオリンピック会場を爆破してしまうのはよいとして(?)、長距離バスに爆弾を仕掛けたりする。日本人の作家が、「チベット人は仏教徒で大人しいのがよくない。それに比べてウイグル族はイスラムだからガッツがある」というようなことを考えて、爆弾を運んでやったりして協力する。柘植氏はアメリカに対してテロを企むようなイスラムはやっつけるべし、という立場である。中国が相手なら何をしても構わないというのはちょっとひどい話だ。しかしテロのmodus operandi(手口)が具体的に書いてあるのは確かに「参考」になるはずだ。
 この本は2006年11月刊行である。中国がオリンピックの妨害工作を企てたかどでウイグル人多数を逮捕したと発表したのは最近のことだ。

07072708

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