柔道か柔術か(20)
まず簡単なところから。catch-as-catch-canという英語はふつうはどういう意味で使われているのか? 辞書で調べてみよう。
OEDには載っていない。
インターネットでThe New Dictionary of Cultural Literacy, Third Edition. 2002.を引いてみる。
catch-as-catch-can
A phrase that describes a situation in which people must improvise or do what they can with limited means: “We don’t have enough textbooks for all of the students, so it’ll be catch-as-catch-can.”
限られたもので急場をしのぎやりくりする状況をあらわす言葉。「学生全員に行き渡るだけの教科書がないから、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンで行こう」
ランダムハウス英和辞典 catch-as-catch-can
adj.(主に米・カナダ)あらゆる機会をつかんで利用する;思いつきの,出たとこ勝負の,手当たり次第の:a catch-as-catch-can life 行き当たりばったりの生活.
エンサイクロペディア・ブリタニカ(英語版を翻訳)
Catch-as-catch-can wrestling
立ち技と寝技の両方でほとんどあらゆる技と戦術が許されている基本的なレスリングの様式。ルールが禁じるのは通常相手を負傷させる行為だけである。すなわち、絞めること、蹴ること、眼に指を入れること、拳で叩くことである。競技の目的は相手の両肩を同時にグラウンドにつけることである。従来はイングランドで「ランカシア・スタイル・レスリング」として知られていたが、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンは英国と米国で一番人気のあるレスリングの形となり、わずかに修正を加えて、オリンピックや国際競技に「フリースタイル・レスリング」として採用された。
catch-as-catch-canは、ウィキペディアの言うような「ランカシア訛り」(「ランカシア方言」のつもりか?)ではない。ごくふつうの英語である。
レスリングでは、「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイル」だと言えることは、ブリタニカで分かるだろう。
ただ、「拳で叩くこと(hitting with a closed fist)」というところはブリタニカの記述が不正確だ。平手打ち、突っ張り、空手チョップなどはもちろん禁止である。
キャッチ・アズ・キャッチ・キャン・レスリングは
(1) フォールで勝負をつける。
(2) 関節技はない(「相手を負傷させる行為」として禁止)。
(3) グレコローマンとの違いは、上半身だけではなく「掴めるところをどこでも掴んでよろしい=catch as catch can」
「キャッチ・アズ・キャッチ・キャッチ・キャン・レスリング」が100年前にどういう意味で使われていたかは、文献を調べればよい。検証あるいは反証である。
徹底的に調べるには英国へ行かねばならない。私はそこまでできないけれど、調べる手掛かりだけは示しておきたい。(続く)
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