水着について(2)
1936年のベルリン五輪で男も上下つなぎの水着を着て泳いだのは、ヴィクトリア朝のお上品ぶりの名残だと思いますね。「女性の観客がいるではないか。胸毛なんかを見せるのは失礼だろう」という意識があったのだ。
1939年9月にドイツがポーランドに侵攻して第二次大戦が始まると、そんなお上品ぶりは吹っ飛んでしまった。1940年代前半に仮に水泳大会があったとしたら、男はパンツ一丁で泳いだと思いますね。
男の水着などどうでもよろしいが、女の水着がずいぶん変わった。
1943年のベティ・グレーブルのピンアップ。GIの戦意高揚に大いに役立ったそうだ。しかし、これより40年ほど前と比べると何という変わり様だ。
1902年のBathing machineと水着の絵。ベージングマシンというのはむかしの小説に出てくるのでどんなものだろうと思っていた。だいたい19世紀の英国で盛んに使われたものらしい。1910年代くらいまでは使われたようだ。
女性用水着はほとんど肌の露出がなくて泳ぎにくそうだけれど、こういうのでも水着姿で波打ち際まで歩く間に男性の視線で見られるのは困る、と当時の女性は思った。
だから絵のような車輪つきの脱衣小屋があって、その中で水着に着替え、小屋を馬や人力や場合によっては蒸気機関で海の中まで引っ張って行ったのだ。
1829年のベージングマシン。ブライトンの海岸だそうです。水着がいっそうオールドファッションで、これでは泳げない。塩水につかってパチャパチャするだけで満足したらしい。この絵では泳いでいるのは女ばかりだ。海水浴場でも男性用と女性用のエリアが厳しく区別されていた。
男だけの場合は、裸でもよかったらしい。シャーロック・ホームズの『獅子のたてがみ』では背中にひどい傷ができていたのだから、少なくとも上半身は裸で泳いだのだ。
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