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2008年7月14日 (月)

コナン・ドイル卿? (7)

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『バスカヴィル家の犬』で巨大な魔犬に襲われて(?)死んだのは、Sir Charles Baskervilleであった。この人が死ぬと、モーティマー医師が音頭をとって跡継ぎを探した。故人の甥に当たるHenry Baskervilleという男がアメリカにいることが分かった。この男は物語に登場したはじめからSir Henryと呼ばれる。
 バスカヴィル家は準男爵(baronet)の位を世襲している。原則として長男が位を継ぎ、Hugoという名前であれば、Sir Hugo BaskervilleまたはSir Hugoと呼ばれる。*Sir Baskervilleという呼び方はしない。準男爵は男爵の下、ナイトの上の位であるが、貴族ではない。
 延原謙氏の翻訳では「チャールズ卿」「ヘンリー卿」と書いている。これはよろしくない。
 最新の日暮雅通氏の訳ではさすがに「サー・チャールズ」「サー・ヘンリー」となっている。
 むかしは翻訳にカタカナ書きの英語を使うことをいやがって、無理にでも訳す傾向があったようだ。しかしパンツを猿股はよろしいが、ブラジャーを「乳押さえ」はちょっと困りますね。
 Lordを「卿」と訳するとすればSirには別の訳語を宛てるべきで、訳語がなければカタカナのままにしておくのが妥当でしょう。

 もう一つ、訳がむつかしい敬称にHonourableがある。
 
  It was in the spring of the year 1894 that all London was interested, and the fashionable world dismayed, by the murder of the Honourable Ronald Adair under most unusual and inexplicable circumstances.
 
 何という冒険の書き出しでしょうか?

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