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2008年9月 8日 (月)

チベットのポワ(ポア)と鳥葬

 命終の時には、一般の民家でも同様に、直ちに祈祷僧を招いて祈祷を乞う。そしてポワという祈祷を行う。ポワとは転移或いは遷移の意味である。霊魂を他に移すことをあらわしている。即ち体内の魂を体外に引き出し、天上界とか安楽界とかに送り移す祈祷である。この祈祷の効果が顕著に現れると、死人の体が運動を起こすと信ぜられている。また、人が死んでも頭上に暖かさが残っているのは、天上界に生まれる証左であり、足の先が暖かいのは地獄に堕ちる徴である。足の先の暖かい死人には、ポワの祈祷をしても効果はなく、転じて善い世界に生をうけさせることはできない。悪は善よりも力強く、命終の即座に、霊魂は地獄行きとなり、暫くも体内に留まっていないからである。魂を取り去った死体は部屋の一隅におかれ、穢い毛布に包まれる。両膝を胸のところで堅く縛り、頭を中間に挟み、屍骸を一つの団塊にしてしまう。日を選んで、未明ひそかに死体運搬人にこれを渡す。身寄の者はもとより師弟関係も、誰一人として付添はない。日本の場合とは全く異なっている。彼らとしては、霊魂を失った死体は一つのぬけがらで、土塊と等しく、何らの価値がないというのである。
 斯くして、死体を禿鷹の住んでいる岩窟のほとりに運び、その食用に供する。この禿鷹は翼を張ると一丈に及ぶものがあり、嘴と、爪は鋭く、飛翔は甚だ迅速である。幼児などはそのまま掴んで飛び去ることもある。さて死体は岩窟にはこばれ、大盤岩の上で、隠坊によって解体せられる。胴と手足を切り離し、骨から肉を毟りとり、骨を細々に叩き、禿鷹がすぐ嚥下できるように寸断するのである。それを待ち構えていた禿鷹の群は、一片一塊の残すところもなく直ちに食い尽くしてしまう。このような鳥葬は西蔵では普通一般の葬儀である。彼らはこのように一物も残らずに無に帰したことを、死人の後生がよかったと喜ぶ。
(多田等観『チベット』岩波新書1942年)

Sfh040006_2
 写真は『普通でないe-ricos』からお借りしました。
http://e-ricos.net/blog2/2006/09/post_33.html

 中国の西蔵自治区当局は鳥葬は非衛生的だとして火葬を奨励していたが、2006年鳥葬について撮影や報道を禁ずる条例を公布して、伝統文化を保護することになった。チベットには約1000箇所の鳥葬用石台があるが、関係者以外による撮影や見物、及び鳥葬用石台近くの採石など開発行為も禁じた。
(ウィキペディア)
 

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