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2008年10月28日 (火)

ヴィクトリア皇帝(8)

Augustus

 ヨーロッパで初めて皇帝になったのはオクタウィアヌス(前63-後14)である。
 ユリウス・カエサルが前44年に暗殺されたのち、オクタウィアヌス、アントニウス、レピドゥスの第二次三頭政治となった。前31年、オクタウィアヌスはアクティウムの海戦でアントニウスとクレオパトラの連合軍を破った。クレオパトラもアントニウスも自殺した。

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 オクタウィアヌスは前31年にプリンケプス(第一人者)の称号を、前27年にアウグストゥス(崇高なる者)の尊称を受けた。ふつうはこの前27年からローマの帝政が始まったとされる。
 アウグストゥス(オクタウィアヌス)の養父カエサルは、王になるつもりなのではないかと疑われて暗殺された。
 アウグストゥスは、共和制という建前を崩さなかったけれども、最高司令官、執政官、護民官、大神祇官などを兼任し権力を一身に集めた。
「皇帝」は「王ではない」ということであって、この段階ではまだ「王より偉い」ということではなかった。
 最高司令官の職名imperatorから英語のemperorができた。ドイツ語のKaiserはアウグストゥスの名前Gaius Julius Caesar Octavianusから。ロシア語のツァーリもCaesarの崩れた形なんだそうです。

 伝説によればローマは前753年から前510年まで七人の王によって統治されたが、七代目タルクィヌス・スペルブスを最後に王政が廃止され、共和政になった。
  


「この間などは『貴様は学者の妻にも似合わん、ちっとも書籍の価値を解しておらん。昔、ローマにこういう話がある。後学のため聞いておけ』と言うんです」
「そりゃおもしろい、どんな話ですか」迷亭は乗り気になる。細君に同情を表しているというより、むしろ好奇心に駆られている。
「なんでも昔ローマに樽金とかいう王様があって……」
「樽金? 樽金はちと妙ですぜ」
「私は唐人の名なんかむずかしくて覚えられませんわ。なんでも七代目なんだそうです」
「なるほど七代目樽金は妙ですな。ふん、その七代目樽金がどうかしましたかい」
「あら、あなたまで冷やかしては立つ瀬がありませんわ。知っていらっしゃるなら教えて下さればいいじゃありませんか、人の悪い」と、細君は迷亭へ食ってかかる。
「なに、冷やかすなんて、そんな人の悪い事をする僕じゃない。ただ七代目樽金はふるってると思ってね……ええ、お待ちなさいよ。ローマの七代目の王様ですね。こうっとたしかには覚えていないが、タークィン・ゼ・プラウドの事でしょう。まあ誰でもいい、その王様がどうしました」
「その王様の所へ一人の女が本を九冊持って来て、買ってくれないかと言ったんだそうです」
「なるほど」
「王様がいくらなら売るといって聞いたら大変な高い事を言うんですって。あまり高いもんだから少し負けないかと言うと、その女がいきなり九冊の内の三冊を火にくべて焼いてしまったそうです」
「惜しい事をしましたな」
「その本の内には予言かなにか、ほかで見られない事が書いてあるんですって」
「へえー」
「王様は九冊が六冊になったから少しは値も減ったろうと思って、六冊でいくらだと聞くと、やはり元の通り一文も引かないそうです。それは乱暴だと言うと、その女はまた三冊をとって火にくべたそうです。王様はまだ未練があったとみえて、余った三冊をいくらで売ると聞くと、やはり九冊分のねだんをくれと言うそうです。九冊が六冊になり、六冊が三冊になっても、代価は元の通り一厘も引かない。それを引かせようとすると、残ってる三冊も火にくべるかもしれないので、王様はとうとう高いお金を出して焼け余りの三冊を買ったんですって……『どうだ。この話で少しは書物のありがたみがわかったろう、どうだ』と、力むのですけれど、私にゃなにがありがたいんだか、まあ、わかりませんね」と細君は一家の見識を立てて迷亭の返答を促す。

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