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2009年1月 2日 (金)

シャーロック・ホームズの階級(3)

 三人の男がモンゴメリーに会いに来たのは、「クロックスリーの王者」とボクシングの100ポンド懸賞試合をさせようという思惑からだった。100ポンドあれば、学資をまかなってお釣りが来る。モンゴメリーが承知したことは言うまでもない。

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(挿絵はThe World of Holmesよりお借りしました。下の挿絵も同じ)

クロックスリーの王者というのは

「スポーツ界でクロックスリーの王者として知られるサイラス・クラッグズは1857年生まれ。今年で40歳を迎える」
「若くしてボクシングで稀に見る才能を発揮し、仲間内で次第に頭角を現し、やがて地区チャンピオンに選ばれ、現在の輝かしいタイトルを勝ちとるに至った。だがその地方的名声だけでは満足せず、後援者を得て、1880年5月に旧ロイターズ・クラブで、バーミンガム出身のジャック・バートンとデビュー戦を闘う。当時のクラッグズは142ポンドだったが、15ラウンドを優勢のまま進め、判定でバートンを下した」

 体重が142ポンドということは、ウェルター級(135-147ポンド)なのだろうか? しかし、1880年ごろには、まだウェルター級はなかったみたいだ。

「続いてロザハイズ出身のジェイムズ・ダン、グラスゴー出身のカメロン、さらにファニーという名の青年を次々に倒したため、関係者のあいだで高い評価を受け、北部イングランド出身のミドル級チャンピオン、アーネスト・ウィクロスの好敵手と目された。やがてこのミドル級チャンピオンと凄まじい戦いをくりひろげ、第十ラウンドでノックアウト勝ち」

 あるいは次々と戦う間に体重はいくらか増えたのかも知れない。しかし、ウェルター級のリミット147ポンドを越えたかどうかは全く問題にもならず、デビュー後5戦目でミドル級チャンピオンに挑戦して勝ったのである。ウェルター級という階級は、1880年ごろにはまだなかったことが分かる。
 その後、王者は馬に蹴られて脚を骨折するという不運があり、タイトルを失った。しかし王者は足の不自由を補う戦い方をあみだし、ヘビー級ボクサーをも破った(ライトヘビー級もまだなかったらしい)。その後反則負けの判定を不服として公式戦からは引退したが、40歳の今でも元気で、100ポンド懸賞試合は喜んで受けて立つというのである。
 試合の時が来た。主催者がリング上で「紳士諸君!」と観客に呼びかける。続く言葉が、19世紀末のボクシングの重量階級制と戦い方をよく表している。(続く)

Croxley2_4

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