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2009年1月12日 (月)

柔道か柔術か(39)

 ボクシングの話がまだ終わっていないけれど、一休みして「柔道か柔術か」の続き。英国人のマーシャルアーツ研究家が書いたレスリングの歴史です。筆者名が分からないし、英国人が英国のことを書けば正しいとは限らないけれども、参考にはなるでしょう。

   イングランドにおけるレスリング略史(1)
 A Brief History of Wrestling in England 原文

 レスリングはもっとも古く純粋な格闘技である。男たちは太古から力と素手の格闘技術を競い合ってきた。
 エジプトのベニハサン遺跡の壁画には、紀元前3000年頃のレスラーの様子が描かれている。また古代オリンピックでもレスリングが行われていた。レスリングは、紀元前704年頃の第18回オリンピックから導入されたと言われている。
 イングランドのスポーツでも、レスリングは昔から行われて来た。ロンドンでは毎年8月1日の収穫祭にレスリングの試合を行う習わしがあった。
 19世紀まで田舎の縁日や祭では、木刀術(Cudgel Play)、棒術(Quarterstaffs)、剣術などの試合と並んで、 レスリングも主要なスポーツの一つであった。

Quarterstaff_line_drawing__project_

 レスリングへの関心が衰え始めたのは、イングランドにグレコローマン・スタイルが紹介されてからである。ギリシャローマ式という名前にもかかわらず、これは古典古代のレスリングとは無関係で、フランスからの輸入品である。
 このスタイルのレスリングでは腰から下に対するホールドは許されず、グラウンド・レスリングで何時間も勝負が続くことがあった。よほど熱心なファンでも、見ているうちに退屈してしまった。
 昔からイングランドのレスリングには二つの中心があった。一つは南西部地方でデボンシャー・コーンウォール・スタイルが発達し、もう一つの北部地方ではカンバーランド・ウェストモーランド・スタイルが発達した。
 19世紀前半にはエイブラハム・カン(1794?-1864)が活躍し、イングランド中の誰とでも500ポンドを賭けて戦うと宣言していた。カンはデボンシャー・スタイルのレスラーであった。デボンシャー式のレスラーは、試合中に相手を蹴るので非難された。蹴りはデボンシャーでは正当な行為でありルールで認められていたが、コーンウォールでは認められなかった。コーンウォール人の多くはデボンシャーのレスラーの相手をするのをいやがった。デボンシャー・スタイルの擁護者は、この少々乱暴なスタイルこそが古典的なのであって昔のギリシャ人も試合中に蹴り合っていたと主張するのであった。

Wrestling

 (空手式の蹴りではなく、まず組み合ってから互いに脛を蹴ったようである。)
(続く)

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