« シャーロック・ホームズの階級(3) | トップページ | シャーロック・ホームズの階級(5) »

2009年1月 7日 (水)

シャーロック・ホームズの階級(4)

「紳士諸君! 試合はクロックスリーの王者ことサイラス・クラッグズと、ウィルスン炭坑のロバート・モンゴメリーとで行われます。ウェイトは162ポンドで行われる予定でしたが、ついさっき計量したところ、クラッグズは161ポンド、モンゴメリーは149ポンドという結果でした。試合には2オンスのグローブを使い、1ラウンド3分で20ラウンド、最後までもつれた場合は判定で勝敗を決定します……」
(富塚由美訳。間然するところがない翻訳である。)

 モンゴメリーはウェルター級(135-147ポンド)だと言われたのだが、試合はミドル級(147-160ポンド)のリミットを上回る162ポンドで行われることになった。
 ウェイトについては柔軟な考え方をして、試合ごとに適当な契約体重を決める場合があったようだ。現在の格闘技戦と同じである。たとえば吉田秀彦は100キロを超えるヘビー級として戦ってきたが、1月4日の対菊田早苗戦では93キロが契約体重だった(残念でしたね)。
 注目すべきは、グローブの重さが2オンスということである。現代のボクシングではこの体重ならば10オンスのグローブをつける。五分の一の2オンスでは、ほとんど素手と同じである。
 この時代のボクシングは、
・本来なら素手で殴り合うべきだ。
・しかし、やむを得ずクインズベリー・ルールに従ってグローブを付ける。
 ということだったらしい。
 この試合の前にも警察官が現れて「法律は法律だ。グローブを使うのであれば試合の邪魔はせんが、関係者の名前は控えておく」と言う。素手なら犯罪(決闘罪?)になったらしい。
 ゴングが鳴った。

Croxley3_1

 両者2オンスの小さなグローブを付けている。
 そのほかに、現在のボクシングと比べてどんな特徴があるか? まず、二人ともガードを下げているが、これは試合開始直後だからだろう。ガードを固める場合もあるのだ。それよりも注意すべきは、両者とも前屈みにならず直立して、体重をほとんど後ろ足にかけていることだ。現在のボクシングのクラウチング・スタイルとは大きく異なっている。
 素手やごく小さなグローブの場合は自然にこういう姿勢になるらしい。現在のように大きなグローブを付けていれば、相手のパンチを自分のグローブでブロックすればよい。素手や小さなグローブではそれができない。前腕でパンチを防ぐことになるから、アップライトな姿勢を取らざるを得ないのだ。

Molineauxchina

|

« シャーロック・ホームズの階級(3) | トップページ | シャーロック・ホームズの階級(5) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21109/26893291

この記事へのトラックバック一覧です: シャーロック・ホームズの階級(4):

« シャーロック・ホームズの階級(3) | トップページ | シャーロック・ホームズの階級(5) »