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2009年1月16日 (金)

柔道か柔術か(43)

 イングランドにおけるレスリング略史(5)

 レスリングがイングランドでは単なるスポーツではなく、徒手格闘のための武術だったことは明らかだ。剣や木刀を失ったときには、レスリングが身を守る手段となったのだ。
 現代のイングランドには、インドからガイル、ソ連からサンボ、ウズベキスタンからクラッシュ、日本から柔道が輸入されている。
 サンボ、クラッシュ、柔道は、ジャケットを着て相手を投げるという点でコーンウォール・スタイルのレスリングに似ている。サンボでは、グラウンド・レスリングがあるが、そのほかの二つのスタイルでは、選手は立っていなければならない。
 ガイルはフリースタイル・レスリングとよく似ているが、400以上の技があり、これを全部マスターしてはじめて、「プルワン」すなわちエキスパートと呼ばれるようになる。

訳者付け足し
 ガイル(guile)は、インド式レスリングである。「プルワンpulwan」は、ヒンディー語でレスラーという意味だ。同じ言葉がトルコ語ではpelevan、ペルシャ語ではpalewaniとなる。
 1976年12月12日にパキスタンでアントニオ猪木と戦って腕を折られたのは、アクラム・ペールワンAkram Pehlwan(1930ー1987)であった。ペールワンはやはりレスラーという意味であろう。
「ペールワン」という名前、「最強の男」という意味で、格闘家の地位が日本では考えられないほど高いイスラム世界では、まさに国民的英雄なのだ――と書いているサイトがあるけれども、間違いですよ。猪木が強かったことは確かだけれど。

F1000020s

「ペールワン」が「レスラー」の意味だと初めて述べたのは、柳澤健氏であると思う。

インドのレスリングはグレート・ガマ(1880頃-1953)のような強豪を生んでいる。

Greatgama

(再び訳文) イングランドにはデボンシャー式、コーンウォール式、ランカシャー式、カンバーランド・ウェストモーランド式など長いレスリングの伝統があるが、それらは今や死にかかっていて、東欧や日本の近代的なスタイルに取って代わられようとしている。
 私の望みは、イングランドの古い民俗スタイルを生かし続け、イングランドのレスリングの伝統に新しいスタイルを加えることである。
 賛同者があれば、私はイングランド民俗スタイル・レスリング協会を設立したい。入会は無料である。目的は古いスタイルを生かすことである。
 夏に野外で草の上かリング上で元のルールによるトーナメントを開催したいと考えている。
 1年に一度は、全イングランド民俗スタイル・レスリング選手権大会を開催したい。優勝者にはイングランドのチャンピオンベルトを与えよう。
 イングランドの貴重な遺産を誇りに思い、生かし続けよう。

謝辞:
Brian Jewell氏の著書'Heritage of the Past - Sports and Games'から多くの情報を得た。

(「筆者名が分からない」と書いたけれども、分かりました。Stephen Sweetlove
http://www.the-exiles.org/essay/histwreseng.htm

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 押入れの中から面白そうな雑誌を発掘しました。って自分が買った本だけどね。その名も「新日本プロレス 異種格闘技 全名勝負史」!。発... [続きを読む]

受信: 2009年1月18日 (日) 10時34分

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