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2009年1月29日 (木)

柔道か柔術か(49)

キャッチ・アズ・キャッチ・キャンのまぼろし

 前回(48)は前半はまずまずだったけれど、具体的なレスリング技の話では少々ボロが出た。
 今度は、英語の用法の話に絞ろう。これなら自信がある。英語では

ランカシャー・スタイル=キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイル

 であることは、これまでの話でもうお分かりでしょう。

Photo_33

・キャッチ・アズ・キャッチ・キャンとは、カール・ゴッチが理想としたレスリングである。
・そのようなレスリングが20世紀初めの英国で行われていた。

 という二つの命題は、いずれも成り立たないのである。

catch as catch canというフレーズは、まともな英語では、これまで一般に日本人のレスリング愛好家が理解していたような意味ではない。
 catch as catch canをグーグルで検索してみると、従来型日本式の意味でこれを使っているサイトが見つかる。しかし、それは「まともでない英語」なのです(詳しくは後ほど)。
 英国人や米国人はcatch as catch canと聞くと、どう思うかというと

(1)「掴めるように掴む」→手当たり次第、行き当たりばったり、手段を選ばず
(2) レスリングでは「フリースタイル」の古い言い方

 だから、ゴッチの理想のレスリングには、別の英語を使わなければならない。
 Catch wrestlingというフレーズは、そのために発明されたのだろう。日本語版ウィキペディアの「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」にあたる項目が、英語版ではCatch wrestlingとなっている。
 発祥地はアメリカ合衆国、源泉は「ランカシャー・レスリング」と「Rough and Tumble(開拓時代のレスリングを指すらしい)」だそうだ。有名なキャッチ・レスラ-は
 桜庭和志、ジョシュ・バーネット、フランク・シャムロック、田村潔司、エリック・ポールソン、山本のりふみ

200810220003_b

  この英語版の内容もかなりひどい。空想的である。
  しかし、英語について。
 catch as catch canは、大昔からある英語です。日本人が意味を取り違えていただけだ。
 Catch wrestlingは、近年になって発明された(でっち上げられた)英語だ。古い文献には出てこないはずだ。それに英米人でも格闘技オタク以外には通じない英語だろうと思う(英米人とつきあいのある人は確かめてみて下さい)。
(続く)

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