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2009年1月 9日 (金)

シャーロック・ホームズの階級(6)

 ウィリアムズとマクマードは、何に出てきたか?

「父は一人で外出するのを怖がっていて、ポンディシェリ荘にはプライズ・ファイターを二人、門番に雇っていました。今夜皆さんをお連れしたウィリアムズもその一人です。彼は元全英ライト級チャンピオンでした。……」
 サディアス・ショルトーが父ジョン・ショルトー少佐のことを語っているのだった。もちろん『四人の署名』ですね。
 ウィリアムズはライト級チャンピオンで、もう一人のマクマードはライト級ではないとすると、ウェルター級かミドル級だろう。

Sign06

「お連れは、おれの知らん人だもんね」
「いや、マクマード、知ってるぞ。まさか、私を忘れたはずはなかろう。4年前、アリソン館で、慈善試合の夕べに3ラウンド打ち合ったアマチュアを、覚えていないのか」
「まさか、あのシャーロック・ホームズさんでは! ほんとだ。何で分かんなかったんだろ。そんなとこに突っ立ってねえで、こっちへ来て、あごの下に例のクロスヒットを一発くれてりゃ、すぐに分かったのに。いやあ、あんたも才能があったのに、惜しいことしたねえ。プロになってたら、結構いいとこまで行ってたよ」
「聞いたか、ワトソン。全部しくじっても、僕にはまだ一つ科学的な職業が残っているのだよ」

 メアリ・モースタン嬢の父親のモースタン大尉は1874年12月3日に失踪したのだった。それが10年前というのだから、『四人の署名』の事件は1884年のことである。それより4年前の1880年にホームズとマクマードが3ラウンドのエキシビジョン・マッチを戦ったのだった。たぶんミドル級のプロだったマクマードの引退記念だろう。観客席に奉加帳を回したに違いない。26歳のホームズ(まだワトソンには出会っていない)が相手を買って出たのだ。
 マクマードは「背の低い、胸の厚い男」である。身長はせいぜい170cmくらい、体重は当時ミドル級(160ポンド、約72.5kgまで)、引退後4年も経った今では70キロ台後半かも知れない。
 これに対してホームズの方は長身痩躯で、(たぶん右の)クロスヒットを得意とした。相手が左を打ってくるときにこれと交差(クロス)するように右ストレートを打つのである。

Crosscounter

 しかし、これはちょっと大袈裟すぎる。こういう凄惨な話ではありません。ホームズも言うように、ボクシングはscientific professionなのです。

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