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2009年1月27日 (火)

ラシュワンと戦った話

 ラシュワンと戦ったのは、ずいぶん昔のことだ。1984年だったと思う。ただし戦ったのは私ではない。私の知人が戦った。

 ラシュワンというのは、ご存じですね。
 1984年のロサンゼルス五輪、柔道無差別級決勝は、日本の山下泰裕とエジプトのモハメド・ラシュワンの戦いとなった。
 山下は2回戦の試合中に右足ふくらはぎに肉離れを起こした。決勝のときは軸足の右足を引き摺っていた。決勝の相手ラシュワンは、180センチ、125キロの山下より一回り大きく、体重は140キロあった。
 苦戦が予想されたが、山下はラシュワンが体勢を崩した一瞬をとらえて押さえ込みに入り、横四方固めで一本を取った。

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http://jp.youtube.com/watch?v=nEOkSdw6IA4

Yamashita_2

 ラシュワンと戦ったのは私の知人K氏で、ごくふつうのおっさんだった。1984年ごろ、私はウェイトトレーニングをしていて、K氏はトレーニング仲間だった。年齢は40歳に近く、身長は170センチ前後、体重は70キロ以下だった。「ベンチプレスで100キロを挙げたいものだね」と言い合ったことを覚えているから、力も特に強いわけではなかった。
 ある日、K氏が「来週は講道館へ行って二段の昇段試験を受けるのだ。楽しみだなあ」と言った。大人になってから柔道を始めて、仕事の合間に稽古をしているらしい。
 ところが翌週は出てこない。どうしたのかなと思っていたが、街で出会った。浮かぬ顔をしている。
「いや、ひどい目にあったよ」と言うのだった。
 講道館での二段昇段試験というのは、初段同士で戦って三人だったかを抜けばよいのだが
「出てきた初段がラシュワンだったのだよ」
「あのラシュワンか?」
「あのラシュワンだよ」

 K氏は払い巻き込みをかけられて、肋骨にひびが入った。

Haraigosi

 これは払い腰ですね。一番右の図の後、相手の襟を持っている右手は離し(場合によって左手も離し)、相手が倒れても自分は立ったままである。
 払い巻き込みは、相手の脚を払うところまでは同じだが、そのあとも手は離さず体を預けて相手にのしかかって倒れる。

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 140キロのラシュワンにこれをやられては堪らない。
 オリンピックの無差別級銀メダリストが初段のままというのが無茶苦茶である。二段の試験なんか受けさせられてラシュワンも腹が立っていたのかな。しかし自分の半分の体重しかない相手に払い巻き込みはないだろう。
 ラシュワンは山下の右足をあえて狙わなかったのでフェアプレー賞をもらったというのだけれど、本当だろうか?

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コメント

山下選手が後日、「ラシュワンが攻めなかったのでなく、僕が攻めさせなかったんです」と語ったなんて話も聞いたことありますけど、これも確たる話じゃないですね。
痛めた足の反対を攻めて、負傷の足を軸足にさせたほうが隙ができる、なんて説もあり、いろいろ裏読みが出来て面白い話ではあります。

しかし、講道館の昇段試験はたしかに無差別・無作為ゆえにむちゃくちゃな組み合わせになることありますね。

投稿: Gryphon | 2009年1月28日 (水) 07時08分

youtubeで見ても、右足を攻めているかどうか分かりませんね。ともかく山下が強かったことだけは確かですね。

投稿: 三十郎 | 2009年1月28日 (水) 09時38分

ラシュワンは寝技が下手だったので
山下は膝に負担のかかる立ちではなく寝技で攻めたのであって

山下自身は明らかにラシュワンが狙っていたという趣旨の発言をしていたと思います
それがいつの間にやら怪我した箇所を攻めなかったという美談に摩り替わっていただけでしょう

投稿: NダDサク | 2009年1月29日 (木) 15時14分

1984年のロス五輪はライブでTV放送を見ていたので一言言わせていただきます。
日本人の誰もが山下の無差別級金メダルを確信していましたが、決勝で足を引きずる姿を見て凍て付きました。
相手は大柄なエジプト代表ラシュワン。「こりゃ、アカン」と思ったのですが、ラシュワンは意図的に山下の足を攻めず勝負していました。確かに山下が「攻めさせなかった」部分もありますが、私が見た限りでは「あえてラシュワンは意図的に右足を攻めなかった。
それはラシュワンが日本の講道館で柔道を学び、技だけでなく、柔道の精神までも習得しているからと思われました。
倒されてからは、山下の独壇場でケガをしながら涙の金メダルなのですが、私は26年後の今でもラシュワンにも金メダルを・・・と思っています。
個人的に「生涯わすれないエジプトの英雄」ですし、同じ考えは、当時の日本人柔道ファンにも相当数いたと思います。

しかし、彼が当時初段だったとは今日まで知りませんでした。当時のラシュワン氏と山下氏では確かに格が違います。決勝とはいえ、ビビッて攻撃できなかった部分もあるかもしれません。

それにしても、ご友人のK氏は本当にお気の毒と思います。
長々と失礼しました。

投稿: 勇太郎 | 2010年12月 2日 (木) 23時32分

コメントありがとうございました。私の記憶違いもあるかも知れませんが、ラシュワン氏の初段からの昇段は1984年だったことは確からしいです。

投稿: 三十郎 | 2010年12月 4日 (土) 10時14分

一目で嘘だと分かるのに、
日本は 全てが嘘である 悪のサイド(糞フェミ・糞左翼・糞国)独裁の糞社会※1 だから、
山下氏を侮辱する、そんな与太話がまかり通ってきたんだよ(´・ω・`)

※1 辞書でさえも例えば【弱き者よ汝の名は女なり】の説明として「女はとかく男よりも弱い立場に置かれるものであるということ」(広辞苑)
と書いてあったり(本当は無論、“女は倫理感が弱い”という意味だ)、
【従軍慰安婦】の説明として「日本軍によって将兵の性の対象となることを強いられた女性※2
多くは強制連行された朝鮮人女性」(広辞苑)などという 最初からバレてる大嘘が書いてあったり、【在日朝鮮人】の説明として「日本に強制連行された者」(マイペディア…平凡社)とか
【南京大虐殺】の説明として「20万人の中国人を虐殺した」(マイペディア)とか、作り話が書いてあったりする。
それから、悪名高い『はてなキーワード』は、倫理の人【林道義】氏を 以下のように口を極めて罵倒している。
「性別役割分業観を擁護し、二親そろった家庭を正常なものとみなし、専業主婦イデオロギーや三歳児神話を撒き散らし、リプロダクティブ・レ●プを肯定し、女性への抑圧を全面肯定する・・・以下、この調子で延々と続く」
悪のサイド(糞フェミ糞左翼糞国)がどれほど凶悪か分かるだろ?

※2 韓国で売春婦が「売春させろ!」とデモをしたのはみんな、知ってるだろ?

投稿: 引用・利用は御自由に | 2016年8月 1日 (月) 22時01分

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