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2009年2月11日 (水)

柔道か柔術か(58)

タニ・ユキオ対英国レスラー(The Odyssey of Yukio Tani)の続き

 何人かが(その中にはこのThe Odyssey of Yukio Taniの筆者も含まれるが)賞金を獲得した者は一人もいなかったと書いている。ところが、そうではないようだ。1950年7月に出た武道会の季刊誌に読者の投書が出ている。タニの弟子だった小説家のショー・デズモンドが「先生と戦って賞金を獲得した人はいない」と前号で書いたのに対する反論である。リヴァプールの柔道クラブに属するジョージ・ホーンという人の投書。「元キャッチ・レスラーで故タニ氏と3分間戦って5ポンドを獲得したという人たちがまだ生きています。そのうちの一人はまだウィガンに住んでいて、5分間戦って25ポンドを得たのです」。なかなか興味深いが、3分で5ポンド、5分で25ポンドという数字は、タニの挑戦試合の条件として印刷物が残っているものと合わないようだ。このベテランレスラーたちは自分の手柄を誇張しているのかも知れない。ホーン氏の投書の続き。「我々北部の人間、特に炭鉱夫や山地の者はキャッチをやっていて、(レスリングの)投げ技と(柔術の)技はよく似ていると思う。昔の上手なキャッチ・レスラーのスマートな動きは見ているだけでも楽しかった。我々北の者はタニ・ユキオのことをよく覚えていて今でも尊敬している」

*ウィガンのキャッチ・レスラーが出てきましたね。キャッチあるいはキャッチ・アズ・キャッチ・キャンについては、柔道か柔術か(19)で引用したウィキペディアの古い記事をもう一度見てみよう。

 キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(Catch as catch can)はイギリス・ランカシャー地方発祥のレスリングの一種で、フリースタイルレスリングおよびプロレスのルーツ。18世紀~20世紀初頭を中心にウィガンビリー・ライレージムなどで隆盛した。試合形式は通常リングを使用し時間無制限で行われた。勝敗はタップアウトまたはピンフォールで決まった。キャッチ・レスリング、または単にキャッチ、またはランカシャー・レスリングとも呼ばれる。
 多彩なテイクダウン(タックルと投げ技の総称)、ブレイクダウン(グラウンドでの攻防におけるポジショニング技術)、サブミッション(関節技と絞め技の総称)、ピン(フォール技)の技術体系を持つ。その多くは現代のプロレス、アマチュアレスリング、総合格闘技やグラップリングの技術にも影響を与えている。
 テイクダウンには、タックル、スープレックス(後ろ反り投げ)、サルト(捻りを加えた反り投げ)、スロイダー(相手の腕を前から掴んでの投げ)、ラテラル(相手の胴をクラッチしての蹴手繰り)などがある。
 サブミッションには、ハーフネルソン、ハーフハッチ、アームロック、ヒールホールド、ヘッドロックなどがある。ピンには、体固め、エビ固めなどがある。

 いかにデタラメがまかり通っていたか、恐ろしいくらいだ。
 そんなにすごいレスラーがいたのなら、どうしてタニに勝てなかったの? サブミッション技はあったけれど普段は使わなかったというのなら、タニと戦うときには「奥の手」を出せばいいじゃないか――これは前から言っておりますよ。

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 ひょっとしてダブルアーム・スープレックスを「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」の技だと思っているのでは? もちろん違う。ビル・ロビンソンがやってもローランド・ボックがやっても、プロレスの技(元はグレコローマンの技)なのだ。「キャッチ」のルールならタックルで簡単にテイクダウンできるので、スープレックスなどという面倒な技が出る余地はないのだ。

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