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2009年3月20日 (金)

プロの美人たち(1)

"Gregson is the smartest of the Scotland Yarders," my friend remarked; "he and Lestrade are the pick of a bad lot. They are both quick and energetic, but conventional -- shockingly so. They have their knives into one another, too. They are as jealous as a pair of professional beauties. There will be some fun over this case if they are both put upon the scent."

Stud05

「グレッグスンは警視庁でもちゃきちゃきの腕ききのひとりなんだ。この男とレストレードはボンクラ刑事の中では優秀なほうだ。ふたりとも敏捷で精力家なんだが、ただ型にはまりすぎていてね。まったくあきれるほどね。そしてお互いに対抗意識が強くて嫉妬しあうところなんか、まるで商売女みたいだな。この事件にふたりとも関係するのだったら、きっとおもしろいことになるだろうよ」

『緋色の研究』の第3章。訳文は延原謙氏。挿絵はホームズがこれを言ったあとで現場へ行ったときの情景です。
 しかし、ちょっと変なところがないだろうか。「まるで商売女みたいだな」は、professional beauties=商売女と解したのだろうが、果たしてこれでよろしいか?

 新しい訳はどうなっているだろうか。
 光文社文庫の日暮雅通氏訳
「……商売女も顔負けの醜い対抗意識に凝り固まっている。……」

 商売女でよろしいか? 
 このローリストン・ガーデンの怪事件が起きたのは1881年のことだという。ホームズはまだ27歳だった。グレッグソンとレストレードの二人とホームズはこれからも長いつきあいになる。その間、ホームズが二人のことを一貫して「ボンクラ刑事の中では優秀なほうだ」と見ていることは確かだ。
 それにしても
「商売女みたいだな」
「商売女も顔負けの醜い対抗意識に凝り固まっている」
はちょっと可哀想でしょう。
 確かに頭は悪い。でも、それはワトソンだって同じだ。二人が大いに頑張っていることはホームズも認めているのだ。
 たとえばレストレードについては
「考える方はてんで駄目だが、いったんすることが分かったら、もうブルドッグみたいにしつこく食いついて離さないよ。スコットランド・ヤードでのし上がったのも、このしつこさのおかげだ」
 と、一応はほめている。このときは実際に犯人を逮捕したのだ。 

Card06

 グレッグソンも色々な事件で大活躍するので、二人をホームズが「商売女」呼ばわりするはずはありません。間違いですよ。

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