キャッチ・アズ・キャッチ・キャンとは、「掴めるところを掴む」「掴めるように掴む」という意味だ。グレコローマンでは上半身しか掴めない。英国でランカシャー式レスリングよりも盛んだったカンバーランド・ウェストモーランド式では、右四つに組んで互いに相手の背中で両手をクラッチした体勢から始める。
これらの「掴み方が制限されたレスリング」と比べて「自由にどこでも掴めるように掴む」レスリングがキャッチ・アズ・キャッチ・キャンである。
これは私の意見ではない。「仮説」でもない。OED (オックスフォード大英語辞典)のような権威ある辞書にそう書いてある。複数の英国人のレスリング史家がそう書いている。柔道か柔術か(33)(34)と(39)-(43)と(59)-(68)を見よ。これらは私が書いたのではない。英語の原文を翻訳したものだ。私のコメントを付け加えた場合は、はっきり分かるように翻訳と区別してある。出典は明示してある。N氏とは違って私は秘密主義ではない。
キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイルなのだ。
国際レスリング連盟がキャッチ・アズ・キャッチ・キャン・スタイルの競技会を開催し始めたころには、ルールはフランス語で書かれており、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンをフランス語に訳するとlutte libreとなった。これをもう一度英語に訳すると「フリー・レスリング」であり、その結果、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンは国際的には「フリースタイル」と呼ばれるようになった。
上は英連邦アマチュア・レスリング協会のウェブサイトに書いてあることだ(柔道か柔術か(60)参照)。私が独自に主張しているのではない。
OEDによれば
catch-as-catch-can=the Lancashire style of wrestling
一番古い例文は1889年、W. Armstrong著Wrestlingという本のIntroductionにある。
In 1871, the late Mr. J. G. Chambers…endeavoured to introduce and promote a new system of wrestling at the Lillie Bridge Grounds, West Brompton, which he denominated, "The Catch-as-catch-can Style; first down to lose".
1871年に、故J・G・チェインバーズ氏は、ウェスト・ブロンプトンのブリッジグラウンドで、新方式のレスリングを導入し普及させようとしたが、これを「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン・スタイル、ファーストダウン・トゥ・ルーズ(先に倒れた方が負け)」と名付けた。
現在のウィキペディアでは、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンをCACCと略して、こう書いてある。もちろん間違いです。
ブリテン島で伝統的に行われていたレスリング競技のうち、イングランド北部のランカシャー地方で発達した流派、いわゆる「ランカシャー・スタイル」がCACCの元々の形であった。CACCという語は本来、「ランカシャー・スタイル」の別称である。なお、「ランカシャー・スタイル」の起源はアイルランド島である。
伝統的にというが、西暦何年ごろから始まったの? だいたいでいいから教えて下さい。 「起源はアイルランド島である」とはどうして分かったのですか? 続いて
「ランカシャー・スタイル」が伝統的にどのような場で実践されていたのかについては、はっきりしたことは判っていない。
と書いてある。もちろん、判るはずがない。
再びOEDの例文。1957年、エンサイクロペディア・ブリタニカには
The Lancashire style, generally known as "Catch-as-catch-can" is practised in Lancashire, throughout Great Britain generally, and is the most popular style in the United States, Canada, Australia, Switzerland.
一般に「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」として知られるランカシャー・スタイル(レスリング)は、ランカシャーと英国全土で行われ、合衆国、カナダ、オーストラリア、スイスで最も人気のあるスタイルである。
すなわち、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイルですね。煩わしいからここでは全部は挙げないけれど、これが正しいことを示す例文がたくさん出ている。OEDをご自分で見て下さい。
ウィキペディアには、さらに、ボクシング・デーとオールインについて間違いが書いてある。ネタもとのGスピリッツという雑誌が間違っているからだ。
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