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2009年4月13日 (月)

英国におけるブジツ(武術)

Superstock_1746114

僕はバリツすなわち日本式レスリングの心得があって、それが一度ならず役に立ったのだ。
I have some knowledge, however, of baritsu, or the Japanese system of wrestling, which has more than once been very useful to me.
  ――Sherlock Holmes according to Dr. John H. Watson

僕は日本式レスリングを含むブジツの心得があって、それが一度ならず役に立ったのだ。
I have some knowledge, however, of bujitsu including the Japanese system of wrestling, which has more than once been very useful to me.
   ――シャーロック・ホームズの本当の発言

 正典ではシャーロック・ホームズが「バリツ」という不思議な日本語を使っている。しかし本当は「ブジツ(武術)」と言ったのをワトソンが聞き間違えたのだ――という説をとなえたのは、牧野伸顕であった。
柔道か柔術か(7))

 英国で(年代のことはひとまず措いて)柔術のほかにも日本の武術を広めようという動きはあったようだ。

Huttoncastle1

 これはタニ・ユキオの兄が剣術のデモンストレーションをしているところ。画像はちゃんと保存してあるのだけれど、元のサイトがどこか分からなくなってしまった。
 しかし、竹刀を両手で持って戦うというのは日本的すぎて受けなかったようだ。
 タニ・ユキオの兄は、英語資料によれば1900年に弟と一緒に渡英した。弟の幸雄はミュージックホールに出演したが、兄は「そんな見世物みたいなことができるか」というので帰国してしまった。ところが、NダDサクさんが「欧州の柔術について」のコメント欄に書いてくれたところによると、谷の兄の方が先に渡英していたらしい。まだまだ英語の資料だって出る可能性はある。誰か本当にブリティッシュミュージアムへ行って百年前の新聞雑誌を調べてくれないかなあ。

Kickapo2

 上も元のサイト不明。谷がマネージャーのアポロとデモンストレーションをしているところらしい。不遷流には空手みたいな蹴りもあったのか? 当て身ならあったに違いないが。どなたかご教示下さい。ひょっとしたらアポロと谷の二人で総合格闘技を開発するつもりだったのかも知れない。ところが柔術が大繁盛でその暇がなかったのだろうか。
 百年前の英国でMMAができていたら、というパラレルヒストリーを考えてみるのも楽しい。その場合、倒れた相手を殴り蹴るのは「スポーツマンらしくない」というので禁止されていただろう。桜庭対田村戦など、目をそむけしめるものがあった。この間の青木君も、あんなに上手なのに膝で強引に逆転されて本当に気の毒だ。レフリーがはやく止めてくれてよかった。

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コメント

私のソース元は丸島隆雄氏の島津書房出版 前田光世
からのものです
谷兄と山本(両者とも名前は不明)はイギリスの鉄道技師(これまた姓名不明)が英国へ連れて渡ったそうです。
その事の詳細については丸島隆雄氏とコンタクトを取ってみたらわかる事なのかもしれませんね。

同じ不遷流の滝本派などは戦時中に滝本鉄骨が中国武術の影響を受け滝本門下では突きやら蹴りも相当鍛錬するそうです。
ですから同じ不遷流の田辺も当身を当然知っているでしょうし
見た感じ当時の空手(当時の空手の蹴りはシンプルなものだったそうです)というよりもフランスのサバットのバックスピンキックそのものですのでそれの影響を受けたんでしょうね。
多分
青木選手の試合は私も見ましたがアレは
青木選手のミスですね。
パスしようとしたところを上手くカウンターでスイープされてひっくり返された。
パスガードの際のバランスが悪かったですね。
下になっても大丈夫だという自信もあったのでしょうが頭をああいう形で上から押さえつけられると首が殺されて死に体になっているところへ
それもハーフガードの状態ですから上手く逃げられない時に打撃を食らったわけですから。
マッハ選手の戦法を褒めるべきでしょうね。
MMAが危険という発想ですが
その原因を作ったのは主催者が寝技の攻防の際にじっくり密着しての攻防を嫌いすぐにブレイクで離すので
寝業師たちは密着してのじっくり攻める攻防が出来ず
打撃を受けるリスクの高いスペース(打撃を叩き込まれる間合いいのある状態)からの寝技を仕掛けなければならない現状にあるからでしょう。
視聴者や観客も寝技の攻防は全くわからないからじっくり攻める安全な密着した状態からの寝技を面白くないなどと言ってしまう。
これは視聴者 観客 主催者の無知が生み出した残酷ルール 悪法ならぬ悪ルールから起こるものでしょう。
それとグローブ
これはボクシングでは安全のためとか言っていますが
実際には拳はすぐに壊れてしまう繊細な個所ですので
拳を保護するためにグローブを嵌めているだけのことでしょう。
打撃があった方がより面白くなるから選手の脳への安全よりも
そっちを優先する
素手のバーリトゥードなら高レベルの者同士が戦えば危険の割合は随分と減ると思うんですけれどね。
ちなみに素手とグローブとではグローブの方が思いきり殴れるので(素手の拳にテーピングをすると凶器になるのと同じこと)脳への衝撃 ダメージはグローブの方が遥かに危険だといえるでしょうね。

投稿: NダDサク | 2009年4月14日 (火) 00時35分

あれ?キャッチにサブミッションがなかったというのは仮説だったのですか?「柔術の劣化コピーだ」などとおっしゃっておいででしたので、てっきり証明した事実だと思われているのかと考えておりました。
消極的事実の証明はすべてが不可能なものというわけではありません。この場合はキャッチにサブミッションが存在したという可能性をすべて否定して柔術が起源だと証明すればいいわけです。ですから私は信ぴょう性のある可能性を提示したわけですが、これに関して作法とは奇怪なことをおっしゃる。あなたの仮説は可能性を否定しなければいつまでたっても妄想の域を出ないですが、それに対して可能性を提示する私は感謝こそされ、罵られる憶えはありません。
そして私に証明を求めるのは議論の筋としておかしいでしょう。私は独自の仮説の上に立って話をしているわけではないし、その仮説を証明しようとしているわけではありません。
それとも>消極的事実の証明をしていない
というのはそもそも仮説を立てたことだけで十分満足しておいでだったのでしょうか?
歴史学者ごっこをしてるんだからケチばかりつける奴は来るな!ということでしょうか?仮にそうなのでしたらブログの内容は表現が強すぎますね。誤解される方が出てきてしまう。
それにしても>文章が稚拙で読解できない
議論でこのような展開になったのははじめてです。とても興味深かったので友人とこの展開について楽しく検証する時間が持てました。

投稿: レスラー仮面 | 2009年4月14日 (火) 03時21分

NダDサクさん、ありがとうございます。

レスラー仮面さん、君は人と議論をする資格がない。何にも分かっていない。
「○○がない」という命題は、例外的な場合を除き証明できない。たとえば「この教室にアリは一匹もいない」という命題が証明できるか?
例外というのは「この教室に河馬は一匹もいない」ならば、常識的に考えて証明できるでしょう。
英国の20世紀初めに限ってもプロレスの試合が何千何万試合行われたと思うか? それを一々調べて「サブミッションがなかった」ことが証明できるはずがないの。だから「サブミッションはなかったはずだ。あったというならその試合の記録を出してみて下さい」と言っているのだ。分かった? 分かったら引っ込んでろ。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 14時32分

NダDサクさん、重ねてありがとう。そういう前田英世伝がありましたか。ウィキペディアの前田英世の項目など相当ひどいですね。鉄道技師というのはそう何人もいないはずなので、バートン=ライトのことかも知れない。英語では谷兄の名は見たけれど山本という名は出てこなかったと思う。その辺は事実が錯綜していますね。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 14時40分

NだDサクさん。バートン=ライト創案の「バリツ」にはサバットも取り入れられているのだった。谷はバートン=ライトとは別れたけれども研究を続けていたのかも知れない。何しろ百年以上前のことだからむつかしいけれど、じっくり調べれば資料も出るかも知れない。まあ、ぼちぼちと。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 15時01分

レスラー仮面さん、もしまた顔を出すつもりなら、その前に辞書と百科事典で「仮説」と「証明」の意味をよーく調べてからにして下さい。さらに念のため誰かに説明してもらって下さい。こっちも消耗だからね。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 15時11分

NダDサクさん、おかげで自分の書いた記事を読み直しました。忘れていてはだめだね。英国武道会の歴史によると(柔道か柔術か44)
・1900年後半に谷と兄がバートン=ライトに招かれて渡英
・山本がまもなく二人に加わる。
・しかし、谷の兄と山本は「見世物はごめんだ」と帰国した。
・そのあとで上西貞一が呼び寄せられた。
・谷と上西がバートン=ライト配下になったが、そのうちに独立した。
ということです。
これでたぶん正しいはず。英国に記録があるのだから。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 22時29分

ひょっとして「仮説」のことが分からない人は、柔道か柔術か(23)に書いた(1)から(7)の仮説をお読み下さい。これらの仮説が検証できるか、それとも反証が出るか、もう1年近く続けて書いているのだ。
ほぼ検証できたと思う。少なくとも
キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイル
ということは証明したし、通説を覆したはず。
また改めて詳しく書く。

投稿: 三十郎 | 2009年4月14日 (火) 22時35分

少なくとも19世紀のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンと称したプロレス試合の中で、
サブミッションが使用されていたという証明がなされればいいんだよな?
それほど難しいことじゃない。
貴方は「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイル」が証明されたと言った。
1試合でも、サブミッションが用いられた試合の新聞記事を見つければ、今までの貴方の説はデタラメということになる。

仮説、仮説と言いながら、これまでの文章であたかもそれが既成事実のように断定的に
言い切ったことが何度あったことか。
自論を強調するが為に、長年資料を集めて地道に研究してきた者を貶める発言もあった。

某所でこれまでの貴方の仮説に対する反証を近日中に行なう。
ここのコメント欄では証明するための画像をどこで行なうかは、得意のネット検索で調べればいい。
タカハシ氏に聞くのもいいだろう。
お楽しみに。

言っておくよ。
スピンキックの写真は上西であって、谷じゃない。
フランスの柔術のイラストは、全て谷と上西、あるいはバンキアの写真を模したもの。
ウィリアム・バンキア著『Ju-Jitsu What it Really is』の中にこれら三点の元となる
写真が全部掲載されている。
ネット上の二次、三次資料しか見ていないから、こういう誤りを犯す。
一度くらいは一次資料を読んでみてはどうかね。
そうすれば、原本に責任転嫁しないで済むだろうよ。

 那嵯涼介

投稿: | 2009年4月15日 (水) 00時42分

訂正

>ここのコメント欄では証明するための画像をどこで行なうかは、得意のネット検索で調べればいい。

ここのコメント欄では証明するための画像のアップができないからね。
どこで行なうかは、得意のネット検索で調べればいい。

投稿: | 2009年4月15日 (水) 00時46分

近日中? 楽しみにしている。画像で証明する? なんてことができるかな。「何年何月何日どこで誰対誰の試合で何という技で決着がついた」という文章で書いた記事が欲しいのですがね。補強に画像を出すなら結構。urlを示してくれればよろしい。

投稿: 三十郎 | 2009年4月15日 (水) 02時24分

那嵯さん、あなたも証明の意味が分かっていないのではないかと心配になってきた。
20世紀初めの英国のレスリングの文章による記録で、「サブミッションで決着がついた」ものがありますか? この前の前田光世書簡のような漠然としたものではだめ。原文付きで具体的に引用して下さい。
写真やイラストはどうとも解釈できる。16世紀だったかの「サブミッション技のイラスト」には説得力がなかった。
証明を某所に出すから検索しろ? それはひどい。容量が多いのなら、コメント欄に参照先を書けばよいだけのことです。

投稿: 三十郎 | 2009年4月15日 (水) 06時54分

しつこいけれどサブミッションが「使用されていた」では駄目。たとえば関節技を使ってそれで「相手が参ったと言って決着がつく」からサブミッションと呼ぶのでしょう。「何分何秒、アームロックで何某選手がタップした」というような記事があったら原文で出してみて下さい。

投稿: 三十郎 | 2009年4月15日 (水) 06時59分

貴方とここで議論するつもりはないよ。
そして貴方の提出した条件など糞食らえだ。

貴方は柔術が欧米に紹介される以前のキャッチ・アズ・キャッチ・キャンは、フリー・スタイルと同じものでサブミッションの類は一切なかったという類のことを確かに言ったよね。
「そんなことはありませんよ。キャッチ・アズ・キャッチ・キャンにはそれ以前にもサブミッションはありましたよ」
という事を、決定的な証拠を持って証明するのみ。
「何時何分何曜日」なんて今時、小学生でも言わない
欧米の別はおろか、20世紀初頭などという条件には聞く耳は持たない。
柔術が完全に紹介される以前である、19世紀末のものであれば文句はないだろう?

「この教室にアリは一匹もいません」という消極的事実は証明のしようはないのだろうが、1匹のアリでもそこに発見できれば、それは事実ではなくなるんだよね?
そのときに貴方がここでどんな屁理屈を並べるのか、見ものだよ。

追記:谷のスパーリングの件、トム・キャノンとしたことについては言い訳はしないよ。
キャノンが正しいものか、誤りであるのかは、今後調査はするけどね。
但し、貴方のブログから盗用したものでないことだけは特記しておくよ。

通りすがりの人、
彼が、自論を推測のレベルで留めて「ーーらしい」という記述する限りにおいては、戯言として聞き流すよ。
100%間違っているわけではないからね。
ここへの書き込みも、する気はさらさらなかった。
ただし、今後このウェブサイトを一切見ないなんてひと言も言ってないよ。
だが、仮説を規定事実のように断定的に書き、その自論を持ち上げるがために、多くの研究者を貶めた発言は看過できない。

反証はあくまで自分のホームリングで行なうよ。
それがどこかは自力で調べなさい。

 那嵯涼介

投稿: | 2009年4月15日 (水) 15時07分

まだコメントがありましたか。気がつかなかった。
「秘すれば花」なのかな? 分からない? 「秘密のアッコちゃん」?
僕だったら、この機会に大々的にキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの宣伝に努めるけれど。
全部秘密。たとえば前田光世の書簡というのはどういうものか、明らかにしなければ説得力はないことが分かりませんか?
コリンズではなく、キャノンが谷に投げ飛ばされたというのはどういうソースから知ったのですか?
僕は「こういうソースからの情報です」とできる限り明らかにしていますよ。それくらい常識。

投稿: 三十郎 | 2009年4月16日 (木) 09時36分

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