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2009年5月22日 (金)

モルグ街の新訳(4)

 ボードレールはlibraryをcabinet de lectureと訳している。「読書の部屋」とは何だろう? フランス語は苦手だ。できる人の知恵を借りよう。

 「ボルドー便り」というサイト
http://www.pioto.net/y-harada/bordeaux/45bordeaux/
 
 全盛期のパサージュには、どこでも必ずといっていいほど「読書クラブ」が店を構えていたということです。読書クラブ(Cabinet de lecture)などと気取っていますが、要するに体のいい貸本屋(Loueur de livres)のことだったようです。ここは、新聞・雑誌の閲覧だけの小規模店から、数万冊の蔵書を誇り、豪華なサロンや小講堂まで備えた立派な店までさまざまだったというので、やはり読書クラブと呼んでおくのが無難なのでしょう。新聞・雑誌・単行本、いずれも買うにはまだ高かったし、公共図書館も完備していなかった時代に、パリの貸本屋は19世紀半ばに、都市の風物詩として、またパサージュの定番として賑わいをみせていたのです。(パサージュとはアーケード街のようなものだそうです。ヴァルター・ベンヤミンに『パサージュ論』があるという。)

 もう一つ、The Biblio Kids!というサイト
http://www1.parkcity.ne.jp/bibkid/bibkid1.html

◇宮下志朗「夢想の送り手としての貸本屋」『図書』(495):8-13(1990.9);宮下志朗「本の密猟者エンマ 一九世紀フランスの読書する女」『月刊百科』(359):4-10(1992.9)
 どちらも、フロベール『ボヴァリー夫人』など、フランス文学の作家・作品を通しながら、19世紀フランスの女性と読書(とくに小説)、読書に大衆化を背景に当時続々と誕生した貸本屋事情などを、分かりやすく紹介する。なお、後者では、「読書クラブ cabinet de lecture」と「貸本屋 loueur de livres」とを区別して、「『読書クラブ』は直訳すれば『読書室』となる。十八世紀後半に出現した商売とされてきたが、十七世紀にすでに存在したことが最近になって明らかになった。書店が別室を設けて、そこで一定の料金を徴収して新聞やら新刊書の類を読ませたのが、その由来とされる。」「読書クラブの元来の姿はやはり、単行本などは置かず、新聞・雑誌の閲覧だけを行わせるものであった。読書クラブの多くが年中無休で、朝から晩まで開いていることも、この基本的性格と関わっている。」「読書クラブでは、新聞を店で読む分には今日の新聞の値段より安く読めたらしいからいいが、単行本を借り出すとなると、かなり高額な月会費や保証金をとられた。だがもうひとつ、いわば金のない活字中毒者向けに『貸本屋』というのが存在した。そこでは小説などの単行本のレンタルが主であった。・・・月会費などは取られず、一日いくらという計算だったらしい。」と説明する。

 cabinet de lectureは「読書クラブ」と訳することになっているようだ。貸本屋のようなものであるが、厳密には貸本屋とは区別すべきであるらしい。
 
 モルグ街の事件が起きた19世紀前半には、「ボルドー便り」の言うようにまだ「公共図書館は完備していなかった」はずだ。「モンマルトル街の薄暗い/名もない図書館」は変だろう。ナポレオンが国立図書館をようやく一つ作ったくらいだったのではないか(どなたかご教示下さい)。
 ボードレールは原文のlibraryを「読書クラブcabinet de lecture」のことだと解したのだけれど、どんなものか?

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