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2009年8月 4日 (火)

法律用語の英訳(1)

業務上過失致死 【法】 professional negligence resulting in death
                 (研究社和英大辞典)

 もちろん、これは間違いです。数年前、刑事裁判の判決を訳する仕事が来たので辞書を引いてみてびっくりした。
 英辞郎では

業務上過失致死
death caused by negligence in the conduct of business // fatal professional negligence // professional negligence leading to death // professional negligence resulting in death

 これも間違い。professional云々がよくない。in the conduct of businessというのもだめでしょう。
 たとえば自動車を運転中に不注意で起こした事故については、職業的運転手と素人運転手で罪名に違いがあるわけではない。刑法の211条の規定

(業務上過失致死傷等)
第二百十一条  業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
2  自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

「業務上」という言葉の使い方がちょっと特殊なのだ。刑法など主要な法律には半公式の英訳がある。日本の国内法の英訳というサイトで、上の英訳を調べてみると

Article 211. (Causing Death or Injury through Negligence in the Pursuit of Social Activities)
(1) A person who fails to exercise due care required in the pursuit of social activities and thereby causes the death or injury of another shall be punished by imprisonment with or without work for not more than 5 years or a fine of not more than 1,000,000 yen. The same shall apply to a person who through gross negligence,causes the death or injury of another.
(2) A person who commits the crime proscribed under the first sentence of the preceding paragraph by driving a vehicle may be exculpated in light of circumstances if the injury is minor.

 この場合は、そもそも刑法の規定が日本語に無理をさせているので素人には分かりにくい。和英辞典が間違えたのにも情状酌量の余地があるかも知れない。

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コメント

これは自分も前から気になっていました。
NHKニュースの副音声でも「professional negligence」
ってよく聞きますが誤訳なんですね。

投稿: ななし | 2010年9月 8日 (水) 16時04分

NHKもそうですか。「日本の国内法英訳」というプロジェクトはアメリカあたりからの圧力で始まったのではないか、と私は思っているのですが。

投稿: 三十郎 | 2010年9月 8日 (水) 19時40分

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