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2009年8月31日 (月)

刺青について(1)

「右の手首のすこしうえにある魚の形の刺青は、中国でなければ見られないものです。私は刺青の構図に関しては、すこしばかり研究したこともありますし、その方面の文献に多少の寄与もしているものです。魚のうろこを感じのよい紅で染めるその技巧は、まったく中国特有のものです。……」
(延原謙訳)

“The fish that you have tattooed immediately above your right wrist could only have been done in China. I have made a small study of tattoo marks and have even contributed to the literature of the subject. That trick of staining the fishes’ scales of a delicate pink is quite peculiar to China.---"

 もちろん『赤毛連盟』で、シャーロック・ホームズは質屋のジェイベズ・ウィルソンさんの腕の刺青のことを言っているのであった。

 延原氏の訳文
……その方面の文献に多少の寄与もしているものです。
 原文
I …… have even contributed to the literature of the subject.

 これはこれで正しい訳です。しかし「その方面の文献に多少の寄与をする」とは、具体的にはどういうことでしょうか?
 早川文庫の大久保康雄訳では「その方面の本も書いています」となっている。こっちの方がよく分かる。「本」に限らないと思うけれど。
 ホームズは刺青についてmonographを書いたのだ。

  リーダーズ英和辞典
monograph
n 《限定された単一小分野をテーマとする》小研究論文, 小論, モノグラフ

 モノグラフは本の形で出版することも、雑誌に載せることもある。「刺青については論文も書いています」くらいでよいのでは。雑誌掲載論文はたいてい抜き刷りを作って製本もするから、まあ「本」でもよろしいか。ともかくモノグラフを書くことが、literature of the subject=刺青文献にcontribute=寄与/貢献/寄稿することだ。

 ホームズが書いたモノグラフで一番有名なものは?

Upon the Distinction between the Ashes of the Various Tobaccos

 このモノグラフはどこに出てきましたか?

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