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2009年9月 2日 (水)

刺青について(3)

『四人の署名』でホームズが挙げたモノグラフ。

Upon the tracing of footsteps, with some remarks upon the uses of plaster of Paris as a preserver of impressions 足跡調査法(痕跡保存のための石膏使用法に関する所見を付す)

Upon the influence of a trade upon the form of the hand, with lithotypes of the hands of slaters, sailors, corkcutters, compositors, weavers, and diamond-polishers  手の形に対する職業の影響(スレート職人、船員、コルク切り工、植字工、織物工、ダイヤモンド磨きの手型の石版図を付す)

 正典全体を見れば、ホームズはほかにも多数のモノグラフを書いている。順不同で挙げてみると

Upon the typewriter and its relation to crime  タイプライターとその犯罪との関係 (『花婿失踪事件』で「そのうちに書きたい」と言った。)

・ヒトの耳(the human ear)に関する短いモノグラフ2編。正確な題名は不明。人類学雑誌に掲載(『ボール箱』)

Upon forms of secret writings  暗号形態論(『踊る人形』)

Upon uses of dogs in the work of the detective  探偵の仕事における犬の使用(『ぶな屋敷』で「ぜひ書きたい」と言った。)

Upon the Polyphonic Motets of Lassus  ラッススの多声モテット論(『ブルース・パーティントン設計書』)

Upon malingering  仮病論(『瀕死の探偵』で「いつか書いてみようかと思う」と言ったが、本当に書いたかどうか。)

Upon the determination of the date of a document  古文書年代決定法(『バスカヴィル家の犬』。ただし題名はこれとは少し異なる可能性あり)

Upon early English charters 初期イングランド勅許状論 (『三人の学生』では某大学町に滞在中のホームズがこの研究を進めていた。少なくとも1編はモノグラフを書いたはず。題名は少し異なる可能性あり)

  もう一つ、モノグラフという言葉は使っていないけれども書いたに違いないのが『刺青について Upon tattoo marks』でしょう。これを書いてホームズは刺青文献の充実に貢献したのだ。
『刺青について』の内容はどんなものだっただろう。ホームズが書いたのだから、第一級のものだったに違いない。質屋のウィルソンさんの刺青は「中国に特有のもの」だとホームズは言った。しかし、刺青の本場が中国ではなく日本であることは、もちろん知っていたはずだ。

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コメント

このころから、ある分野に「学会」があり、そこに応募すると審査を経て掲載され、それ自体が権威になるといううような仕組みがあったのでしょうか?
・・・と書いたところで自己解決しましたが、たぶんありましたよね。ちょうどホームズと同時代に指紋の発見の先駆者はだれかという争いもあったし、南方熊楠がどこかの学術誌?に粘菌を報告したりしているんだから。

投稿: gryphon | 2009年9月 2日 (水) 22時48分

南方熊楠は、Nature誌などに数十編の論文を載せているはず。粘菌だけでなくnatural history全般にわたるものらしい。大英博物館の読書室でホームズとも会っているかも知れない。

投稿: 三十郎 | 2009年9月 3日 (木) 08時21分

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