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2009年11月 2日 (月)

毛むくじゃらのアイヌ人(1)

 ジョージ・ウィンダムはいろいろと妙なことを考え出す男だった。奇癖家だった。特に変なのは、座談になると自分が話題を決めて、試験か勝負事みたいに一人一人の意見を徴することだった。ある日、彼は厳かに「日本」と宣った。まず私が皮切りをせよという。私は言った。
「日本は信用できない。我々の一番悪いところを真似しているからだ。中世とかフランス革命とかを真似するのなら、まあ分かる。ところが、奴等は工場や物質主義を真似している。鏡を覗いたら猿が写っていた、というところだ」
 彼は司会者みたいに手を挙げた。「よろしい。そこまで」
 次はシーリー少佐(今は将軍)の番だった。自分が日本を信用できないのは、大英帝国として植民地と国防の問題で日本が少々懸念材料になっているからだと、シーリーは言った。

 G・K・チェスタトンの自伝(1936)の一節です。まだ「毛むくじゃらのアイヌ人」は出てこない。英語ではたとえばhttp://www.cse.dmu.ac.uk/~mward/gkc/books/GKC-Autobiography.txt
で読める。
 チェスタトンの言葉
I distrust Japan because it is imitating us at our worst.

 彼は「ある日」の座談会で意見を求められてこう言ったというのだが、それが何年何月何日だったかは、チェスタトンのことだから書いていない。しかし、もう少し後を読むと、日露戦争(1904-5)より後であり、1906年かそれ以降だということが分かる。
 しかし、こちらは「日英同盟バンザイ」だったのに、向うはこんなことを言っていたのだ。今でもそんなに変わらないのではないかと思う。

 この間雑誌のEconomistを見ていたら、おかしな記事があった。日本と英国の米国での特許取得数を比べると、総件数だけでなく人口一人当たりでも日本の方が断然多いというのだ。なぜだろうか? 答えは当然「日本人は独創性に富んでいるから」となると思うでしょう。そうはならないのだ。
「日本人の間には同調圧力が強いから」というのがEconomist誌の答えだった。
 猿真似の日本人なんかに独創性を認めてたまるか! 
 しかし、同調圧力はいくら何でも変だ。みんながどぶねずみ色の服装だから私もどぶねずみ色にしよう――は分かる。しかし、みんなが発明をするから、私も発明をしよう??
 チェスタトンに戻ると、この座談にはウィンストン・チャーチル(1871-1947)も加わっていた。(続く)

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