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2010年1月18日 (月)

前田光世対フランク・ゴッチ(1)

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 1911年(明治44年)、前田光世は前年に結婚した妻オルガをメキシコに置いてキューバに「単身赴任」していた。
 ある日、弟子のラファエルという男が駆け込んできた。
「お、親分、じゃなかった先生、てえへんだ、てえへんだ!」
「どうした、ラファエル、騒々しいぞ」
「ゴッチが来たんでさあ」
「ゴッチって誰だ?」

 前田光世はフランク・ゴッチのことを知らなかった。奇しくも前田と同じ1878年(明治11年)に生まれたフランク・ゴッチは、1908年、ハッケンシュミットを下し、1911年9月4日の再戦にも勝ってレスリング世界チャンピオンを名乗っていた。

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 しかもゴッチは柔道家とも戦って勝っているという。青柳初段がシアトルでゴッチに挑戦したが、体落としに入るところを後ろ投げに返されて失神した。ニューヨークでは東二段が手もなくひねられた。続いて鈴木四段がニューオリンズの万博会場でゴッチに挑戦したが、敵わなかった。
「なかなか興味深い話だね、それが本当ならば。しかし、ずいぶん昔に遠い北米で起こったことだろう。今さら騒ぐことはない」
「センセイ・コマ、さっきから言ってるでしょう。来たんですよ、ゴッチが、このハバナの町に」

 前田は、イタリアにいる大野秋太郎に国際電話をかけた。大野は自身がプロレスラーとしてリングに上がっていたから、ゴッチが世界チャンピオンだということを知っていた。講道館の柔道家三人に続けて勝ったという話も聞いたばかりだという。
 このゴッチというレスラーはかなり強そうだ。
(p.p.202-3)

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