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2010年1月19日 (火)

前田光世対フランク・ゴッチ(2)

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 フランク・ゴッチがハバナにいるのならば、本当にそんなに強いのか、確かめてみよう。前田はゴッチが滞在しているホテルを訪ねた。慌ただしく挑戦状を認めてゴッチの部屋に送り付けた。
 ところがゴッチは前田に会おうともしない。返書は無礼なものだった。曰く。
 ハバナには妻を連れて二三日の予定で来ただけだ。貴殿と会う時間はないし、誰とも戦うつもりはない。挑戦は受けられない。それに柔道家の相手はもうウンザリだ。
 前田は腹を立て失望した。彼はゴッチが長年の婚約者と結婚したばかりだということを知らなかった。ゴッチは妻のグラディスを連れてキューバにはハネムーンに来たのだった。

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 前田もこれを知っていれば紳士らしく振る舞っただろう。しかし知らなかったのだ。
 挑戦を受けないというのならば、待ち伏せしてストリートファイトを仕掛けようか? 
 しかし妻のオルガはどう思うだろう? 柔術にはずいぶん理解があるのだが、ストリートファイトなんて、そんな野蛮なことをしたら決して許してくれないだろう。(「野蛮」はNeanderthalと書いてある。)
 嘉納治五郎先生がもしこの話を聞いたらどうだろう? 西郷四郎先輩は破門されたのではなかったか。
 
 結局、前田は待ち伏せは取り止め、プロモーターを通じて正式に挑戦を申し入れたが、ゴッチはすでにキューバを去っていた。
 前田光世がこのときまでゴッチの名前を知らなかったのは、英語がほとんど読めなかったからだ。東京専門学校(早稲田)でもう少し勉強しておけばよかったのだ。英語さえ分かれば、ゴッチばかりかズビスコやガマなどに挑戦するチャンスもあったかも知れない。
(p.p. 204-5)

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