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2010年1月22日 (金)

前田光世の伝記(2)

 いずれも1997年(平成9年)刊行である。
 神山典士氏の『ライオンの夢』は小学館ノンフィクション大賞を受賞している。さすがに取材が行き届き文章がしっかりしている。
 たとえば

 ロンドンのレスター図書館には、19世紀後半からの『TIME』紙が、マイクロフィルムで残っている。1908年の記事によれば、キャッチ・アズ・キャッチ・キャン式のレスリング世界大会は、ロンドンのナショナル・スポーティング・クラブの主催で行われ、当時レスター・スクエアに聳えていた3500名を収容するバレエ劇場「アルハンブラ」を会場として、1月27日から2月3日まで行われた。(p.108)

 キャッチ・アズ・キャッチ・キャン(=フリースタイル)のプロレスの世界大会について、神山氏はイギリスに取材に行って新聞The Times(TIMEと書いてあるのは間違い。アメリカの週刊誌とイギリスの日刊紙を混同してはいけない)の記事を調べたのだ。
 この世界大会については柔道か柔術か(66)
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/66-979c.html
から(68)http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/68-10b1.html
 まで、本ブログで英連邦レスリング連盟の『フリースタイル・レスリングの歴史』の翻訳を載せている。
 神山氏はタイムズ紙の記事に直接当たってYamato Maidaと名乗っていた前田光世の活躍を確かめた。
 前田は中量級でヘンリー・アースリンガーと戦って敗れた。タイムズ紙
「最も注目された試合の一つは、中量級のヘンリー・アースリンガー(オースリア)とヤマトの戦いだった。驚いたことに、オーストラリア人が勝利を収めた。」
 前田は重量級にも出て決勝戦まで進んだ。決勝では体重135キロを越えるジャック・エッセンと戦い、敗れたが、タイムズ紙は前田を「素晴らしい技術で善戦した」とほめた。(当時の英国では一流紙がプロレスの記事を載せていた。猪木対タイガー・ジェット・シン戦でどちらが勝ったかは、東京スポーツにしか載らなかったはずだ。)

 神山典士氏は正統的なノンフィクション作家であって、格闘技マニアではない。前田光世伝としても後半はブラジル移民の推進者としての業績に重点を置いている。格闘技やプロレスのマニアからは苦情が出そうな記述もある。
 たとえば、前田光世がミスター・ハッケン・スミスというレスラーを謝らせたという話などはどうだろう。

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