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2010年2月20日 (土)

貞操について(2)

 姦通が白昼公然と、いやこれは言い過ぎか、ともかく白昼に行われる場合があった。「午後の訪問」という大変に便利な制度が活用された。
「午後の訪問」については(リリー・ラントレーと英国皇太子についても)、丸谷才一『猫だって夢を見る』にある「彼らの尊皇」に詳しく書いてある。

 ここでは別のソースを見てみよう。
 An Edwardian Lady and her Fashion Wardrobe
http://www.fashion-era.com/the_society_hostess.htm
 というサイトに「エドワード朝のティーガウンEdwardian Tea Gowns」という記事がある。
 ティーガウンというのは、図のような服装である。

Tealadyx26

 この記事によると

 午後3時から6時の間、上流階級の夫は余所の家を訪問してお茶をよばれることになっていた。妻の方は自宅にいてホステス役をつとめ、男女の客を迎えた。この3時間ばかりの間には、ロマンスと性的冒険のチャンスがずいぶんあった。
 ティーガウンというのは、薄い絹製のふんわりしたワンピースで、たっぷりレースが付いていて、コルセットは着けなかったから、ホステスは男心をそそる姿だった。このゆったりしたワンピースは、着用が楽でアクセスが容易であり大変女らしいものだった。だからスカート丈などはずいぶん変動したが、ティーガウンは1875年ごろに現れて1920年代まで用いられた。

 3時から6時の間に「午後の訪問」が行われ、その間夫は自宅にはいないのが暗黙のルールだった。妻が誰と会って何をしても眼をつぶる。自分も余所で似たようなことをすればよろしいのだった。

 ヴィクトリア朝からエドワード朝の上流女性は、ふつうコルセットを着用することになっていた。

Gone_with_wind

 スカーレット・オハラは南北戦争(1861-65)時代のアメリカ人であるが、イギリスでも同じで、メイドに手伝わせてウェストを締め上げた。
 一日中締め付けていては健康によくないから、午後はティーガウンを着てコルセットなしで過ごしたが、これは便利な服装でもあった。盛装でコルセットを着けていたのでは、いったん脱いだ服を着るにはメイドの手伝いがいる。ティーガウンならそんな面倒はないのだ。

 T・S・エリオットにWhispers of Immortalityという詩がある(1920年)。http://www.bartelby.com/199/22.html
 第5連

Grishkin is nice: her Russian eye
Is underlined for emphasis;
Uncorseted, her friendly bust
Gives promise of pneumatic bliss.

グリシュキンはよい女、ロシア女の瞼の下に
アンダ・ラインがさっと引いてある、
コルセット抜きの友愛の胸元が
霊魂の至福を約束している。
(深瀬基寛訳)

 コルセット抜き(Uncorseted)というのは、やはりティーガウンを着ていたのだろう。

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