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2010年2月 5日 (金)

容積の問題(2)

 内村裕之教授によれば、「傑出人脳の研究」は、日本では東大医学部病理学教授であった長与又郎(1878-1941)が始めたものだという。
 長与又郎は夏目漱石の主治医であり、1916年(大正5年)、漱石の死後、鏡子夫人の希望で遺体を解剖した。漱石の脳は取り出され、東大医学部に保存されているそうだ。脳の重さは1425グラムだったという。平均よりやや重いくらいだ。
 内村裕之教授のエッセイに出てきた傑出人は

ツルゲーネフ(1818-1883)  脳重量2012グラム
ビスマルク(1815-1898)        1807グラム
アナトール・フランス(1844-1924)   1017グラム
桂太郎(1847-1913)              1600グラム
 
 19世紀後半から20世紀初めにかけて、「容積が大きければ(重ければ)頭がよい」という仮説を検証すべく、傑出人脳の重量を量るということが行われたらしい。内村教授もこう書いている。

 ことに1900年の初頭以後には、著名な傑出人の脳研究が相次いだ。ことさらに知名な人を二三拾ってみると、物理学者ヘルムホルツ、化学者ブンゼン、同じくメンデレーエフ、画家メンツェル、作曲家ルドルフ・レンツらである。(p.31)

ヘルムホルツ(1821-1894)
ブンゼン(1811-1899)
メンデレーエフ(1834-1907)
メンツェル(1815-1905)
ルドルフ・レンツ(?)

 しかし、最近は傑出人脳の重量を量ったという話は聞かない。湯川秀樹が亡くなったのは1981年だけれど、湯川博士の脳が重かったかどうかなどは話題にならなかった。
「容積が大きければ頭がよい」とも「頭がよければ容積が大きいはずだ」とも言えない――これが現代の常識ではないだろうか。ふつうの人はそう信じているのではないか。脳研究の専門家に聞けば何と答えるか。やはり断定を避けるだろうか。

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