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2010年4月17日 (土)

牛河の煙草

「牛河さん」と相手は言った。そして何度か咳き込んだ。「申し訳ないんですが、煙草を消していただけませんか?」
「煙草?」、牛河は自分の指にはさまれたセブンスターを見た。その煙は静かに天井に向けて立ち上っていた。「ああ、たしかに煙草は吸っているけれど、でもこれは電話だよ。どうしてそんなことがわかるのかな」
「もちろん匂いはここまではきません。でもそういう息づかいを電話口で耳にしているだけで、呼吸が苦しくなるのです。極端なアレルギー体質なものですから」

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 笑っちゃった。ふかえりなら「かわいそうな牛河さん」と言うだろうか?
 ここまで読んで、第7章のタイトルが〈牛河〉となっていることにやっと気づいた。私はうかつにもBOOK1, 2と同じように〈青豆〉と〈天吾〉の章が交互に現れるのだと思い込んでいた。
 第1章が〈牛河〉だった。書き出しは

「煙草は吸わないでいただけますか、牛河さん」と背の低い方の男が言った。

 以下、〈牛河〉〈青豆〉〈天吾〉の三交代制である。
 牛河視点の導入は成功だ。
 しかし『ねじまき鳥』の方がよかったように思う――というのは、あくまで私の好みだけれど……

P7

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