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2010年5月15日 (土)

ワトソンは女だった(4)

「……シャーロック・ホームズが机の向うから私に微笑みかけていたのです。私は立ち上がり、しばらく呆然として彼を見つめていたけれど、それから気絶してしまったみたい」
(空き家の冒険)

「私みたいに辛抱強い人間はいないでしょう」
(恐怖の谷)

「このころには、私たち二人の関係は奇妙なものになっていました。彼は習慣の人でした。狭く凝り固まった習慣があり、私もそういう習慣の一つになっていた。ヴァイオリン、シャグ煙草、古い黒いパイプ、索引帳、そのほかもっとイケナイものごとと同じように、私も欠かせない仕来りみたいな存在になっていました」
(這う男)

 こういうものを男が書いたことになっていたとは! 「久しぶりにホームズに会って気絶してしまいましたの」と彼女は率直にこだわりなく認めているじゃありませんか。「私みたいに辛抱強い人間はいない」というのは、女房が使う決まり文句として世界最古です。アイスキュロスも使った。原始人だって、こういうのを聞かされて歯ぎしりしたに違いない。それに「古い黒いパイプみたいに仕来りになってしまった」なんて、まったく陳腐な嘆き節じゃありませんか。

 どう見ても結婚生活の話です。彼女は妻だったのです。そして古い黒いパイプ自体が手掛かりになっている。『バスカヴィル家の犬』にどう書いてあるか、見てみましょう。

The_hound_of_the_baskervilles_uksho

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