« ワトソンの資格(4) | トップページ | コナン・ドイルの博士号 »

2010年5月28日 (金)

ワトソンの資格(5)

 エディンバラ大学医学部を卒業して医学士号を得たドイルは、できることならすぐに開業したかった。しかしそれには資金が要るので、まず船医になって金を貯めることにした。
 しばらくは船医の口がなかったので、「いっそ陸軍か海軍かそれともインド政庁にでも入ろうか」と思った。
 陸軍か海軍に入るというのは軍医(army surgeonまたはnavy surgeon)になることで、ネトリー病院で研修を受けることになったはずだ。「ネトリーに進む」のに博士号は要らなかった。
 ワトソンがBachelor of Medicineと書くべきところを何らかの理由でDoctor of Medicineと書いてしまったのでは――という疑問が生ずる余地はあるのだ。博士ではなく学士だ、と断言することもできないが。
 しかし、むかしのイギリスの医学博士号は、現代日本の医学博士号とは少しくおもむきを異にするようだ。ドイルは大学院で研究したのではない。1881年に卒業してから1885年に博士号を得るまでは、開業医兼小説家として多忙を極めていた。
 ドイルは、エフティさんのご教示によると(http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2006/05/2_0ed9.html のコメント欄)

'An Essay upon the Vasomoter Changes in Tabes Dorsalis'
 「脊髄癆における血管運動神経の変化に関する試論」

 という論文を提出して博士号を得たという。どんな論文だったのか。ちょっと読んでみたい。読んでも分からないだろうが。

 すでに『リボンの騎士』などを連載していた手塚治虫が『タニシの異形精子の電子顕微鏡的研究』で医学博士号を取ったのと似ているのかも知れない。
 手塚治虫の博士号については、小島秀明氏と鈴木浩氏の『医師としての手塚治虫』http://www14.ocn.ne.jp/~kojima3/PDF/195_6.pdf 参照。
 タニシの精子の電子顕微鏡写真をもとにして手塚治虫が描いた図について、小島・鈴木氏は

「このシェーマは紛れもなく手塚が描いた図であるが,われわれはこのシェーマをみたとき,全身の血が逆流するような衝撃を受けた.この作業は人間のなせる業ではない.」

 と驚嘆している。

Seniti02

|

« ワトソンの資格(4) | トップページ | コナン・ドイルの博士号 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21109/34894460

この記事へのトラックバック一覧です: ワトソンの資格(5):

« ワトソンの資格(4) | トップページ | コナン・ドイルの博士号 »