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2010年8月 5日 (木)

シャーロック・ホームズの筋書(1)

 伝記作家ヘスキス・ピアソンがコナン・ドイルの遺族の委嘱で彼の伝記を書いた(1943年刊)とき、残された書類を調査して「正典の61篇目」を発見したことは前に書いた。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_cdd1.html
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/61_747c.html
 ピアソンはもう一つ発見をしている。

 彼の書類から私は短篇のシナリオを一つ見つけた。これを見ると、ドイルがまず筋書を考えてから、だんだん肉付けして作品に仕上げたらしいことが分かる。もっとも、この筋書は誰かから買い取ったものかも知れないが。

 シャーロック・ホームズ短篇のプロット
 若い女がシャーロック・ホームズに難問を持ってくる。村で殺人事件があった。彼女の伯父が寝室で射殺された。窓が開いていて外から撃ったらしい。女の恋人が逮捕された。彼に嫌疑がかかるには理由があった。
(1)彼は恋人の伯父と激しく口論した。伯父は、姪が彼と縁を切らなければ遺言書(姪に遺産をやると書いてある)を書き換えると脅した。
(2)拳銃が彼の家で発見された。台尻に彼のイニシャルが彫ってあり、一発発射されている。遺体から回収した弾丸はこの拳銃と一致する。
(3)彼は軽いハシゴを持っている。村にはほかにハシゴはない。寝室の窓の下の地面にハシゴらしき跡があり、ハシゴの下によく似た土が付いたばかりのように見える。 
 男の言い分――拳銃は持っていない、発見場所が玄関の帽子掛に付いた引出であるから誰でも置けたはず。ハシゴについては一月も前に使ったきりなので土のことは分からないと言う。
 このような圧倒的に不利な証拠にもかかわらず、女は恋人が無実だと信じている。彼女の疑っているのは別の男で、こいつは彼女に横恋慕して言い寄っている。もっとも証拠は皆無である。ただ、何でもしでかす悪人だ、と女の直感で思うだけ。
(続く)

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