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2010年8月11日 (水)

ゲイの社会(2)

 コナン・ドイルはもちろん同性愛のことを知っていた。
「オスカー・ワイルドさんは偉いけれども、あれはどうもなあ」
 奥さんのルイーズの方はそんなものが存在することを知らなかったはず。昔のイギリスには腐女子なんてなかった。ヴィクトリア朝の中流以上の女性は、結婚前に「おしべとめしべの話」を聞かされた(かも知れない)くらいで、性的な話題は禁忌であった。
 gayが同性愛を意味するようになったのはもっと時代が下ってからです。こういうのはOEDを見ればよい。

gay

1. a. Of persons, their attributes and actions: Full of or disposed to joy and mirth; manifesting or characterized by joyous mirth; light-hearted, exuberantly cheerful, sportive, merry.

ランダムハウス英和辞典の【1】陽気な,明るい,快活な. が基本的な意味であることが分かる。

「同性愛」という意味は、OEDではもっと後に出ている。

2.c.  c. Of a person: homosexual. Of a place: frequented by homosexuals. slang.

一番古い例文は1935年である。次が1951年。

 1935 N. Ersine Underworld & Prison Slang 39  Geycat, a homosexual boy  (geyという綴りになっている。まだ一般的な用法ではなかったらしい。)
 1951 E. Lambert Sleeping-House Party vii. 74  In a way it was an odd threesome. It occurred to me that Esther rather hung round our two gay boys.(第二次大戦後によく使われるようになった?)

 OEDはいま新版を準備しているところで、あるいはもう少し前の例文が見つかるかも知れないが、コナン・ドイルのころにはgayに同性愛の意味はなかった。オスカー・ワイルドだって「陽気な」という意味でgayを使っているはずだ。

 societyを「社会」とするのも何とかの一つ覚え。
 次は誰の台詞で、どういう意味ですか?

  "I was amused by her society, and she could see that I was amused."

 答え。独身貴族の四十男、セントサイモン卿がハティ・ドーラン嬢についてこう言ったのでした。
「彼女と付き合って楽しかった云々」
 be amusedの使い方がいかにも偉そうですね。だから振られるのだ。(ヴィクトリア女王がときどき「We are not amused.朕は面白うないぞ」と仰せられると臣下は恐懼した。)
 それはともかく、societyは社会とは限らない。「付き合い」「社交」「交際」ですね。
 gay societyは「陽気な社交」なんて訳さなくても単に「社交」でよろしいでしょう。

 ついでに、ニーチェのgay scienceとは何でしょうか? 
 fröliche Wissenschaftの英訳です。和訳ではふつう「悦ばしき知識」と言っているようだ。

378pxnietzsche1882

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