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2010年9月13日 (月)

広瀬武夫とサンボ(3)

Hirose_takeo

 ロシア駐在中、あるロシア人将校から「日本人は団体としては強いが、個人としては小弱で到底我らの敵ではない」と言われた広瀬は、「それは面白い。その言葉が本当か試してみよう。貴国海軍の中で最も腕力に優れた三人と勝負をしてみようではないか」
 そう言って、広場でロシア海軍選りすぐりの三人の巨漢と勝負し、柔術の技で次々と投げ飛ばして行った。この噂は皇帝の耳にも届き、ロシアの宮中に招かれて柔術を披露することとなった。広瀬はそこでも屈強の将校達を次々と投げ倒し、皇帝らはその技に驚嘆したという。
http://sakanouenokumo.hp.infoseek.co.jp/hirose.htm から)
 このサイトは一見の価値あり。広瀬武夫の写真など資料が多く充実している。

 広瀬武夫がロシア人相手に柔術を使ったことはあるかも知れないが、御前試合はどうだろう? 帝国海軍から「ロシア事情視察」に派遣されているのだ。皇帝に面会する機会があったら日本に報告しないはずがない――これは和良コウイチ氏の本に書いてある。

 私は別バージョンを知っている。戦前の子供向きの本『軍神広瀬中佐』が家にあって、私が子供のころ(もちろん戦後)に読んだ。本は探したがないので記憶に頼って書くと

 広瀬武夫はロシア海軍の軍艦を視察に出かけた。甲板で水兵たちがレスリングをやっている。
 一人の士官が
「広瀬大尉はジュージツとかいう武術の達人であると聞いている。見せていただけないか」
「よろしい」
 屈強な水兵を三人ばかりいとも簡単に投げ飛ばして見せた。ところが四人目に出てきたのはものすごい大男だ。力も強くて技がきかない。やむを得ん。グラウンドに引き込んで絞め技をかけると落ちてしまった。
「ひどい、殺してしまった」
「人殺し」
「殺さなくてもいいだろう」
 と、ロシア人たちは騒ぎ出した。広瀬は
「諸君、落ち着きなさい。彼は死んでいるのではない。休んでいるだけだ。こうやれば――」
 と活を入れると、たちまち息を吹き返した。やんやの大喝采。
 それから「ガスパージン・ヒロセ、柔術を教えてください」
 と言ってくるロシア人が多くて困ったが、「生兵法は怪我の元」をロシア語に訳して断った。
 しかし、サンボの成立よりはかなり前の話である。

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