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2010年9月22日 (水)

嘉納治五郎対シャーロック・ホームズ(4)

 シャーロック・ホームズが英国式ではなく日本式レスリングの研究に向かったのは、当時ようやくフランスから英国にも波及して来た日本ブームが関係しているようだ。
 1885年(明治18年)にはギルバート(脚本)とサリヴァン(作曲)のミカドが上演されて記録的な大ヒットになった。

The_mikado

 また1885年から1887年まで「ナイツブリッジの日本村」があった。これはロンドン中心部の繁華街ナイツブリッジにあるハンフリーズ・ホールに工芸職人とその家族など男女子供を含めて百人ほどの日本人を住まわせて日本の生活を再現して見せたもので、大人気を呼んだ。英語版ウィキペディアhttp://en.wikipedia.org/wiki/Japanese_Village,_Knightsbridge

 ホームズが初めて柔術に言及したのは、1888年1月10日付けのマイクロフト・ホームズ宛の手紙である。ただ、このテキストには英国バリツ協会の編集者が手を入れて改悪してしまったらしい。シャーロック・ホームズなら使うはずがない英語が使われている。だから原文に忠実な翻訳はあまり意味がないので、適当な訳です。

 親愛なるマイクロフト、お元気ですか。僕も元気です。……
 近ごろ柔術という日本式レスリングのことをよく聞く。これは高度に発達した科学的なグラップリングであって、解剖学・生理学の知見に基づいているようだ。投げ技は最近脚光を浴びているランカシャー式レスリングに似たところもあるが、てこの原理を大いに活用するものだ。日本式レスリングの特徴は関節技にある。手足や肩や首の関節の逆を取る技である。これによって力の強い相手も制することができる。
 兄さんも知っているように、僕は格闘の際は立ったままで拳を使う戦いになれている。最近、支那のカンフーをかじって肘、膝、足を使うことを少々覚えたが、これでは十分ではない。
 格闘のときに地面に転がるなんてことはしたくないのだけれども、やむを得ずそうなる場合もあることは最近経験した。そういうときに柔術は大いに役に立つのではないかと思う。
 何とかしてサムライを見つけて柔術を教えてもらいたいと思っている。日本人は頑固だし外人も警察も嫌いらしいから(ロイロット博士のように僕が「スコットランドヤードの小役人」だと誤解する者は多い)なかなかむつかしいだろうが。……

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