« ボクシングとレスリング(3) | トップページ | レスリングのスタイル »

2010年10月30日 (土)

ボクシングとレスリング(4)

 ボクシングは殴り合いである。ただ、クィンズベリー・ルール以前には取っ組み合い(wrestling)も合法だったから、たとえばクリンチからすくい投げで相手を地面に倒すことはできた。しかし倒れた相手に対する攻撃は禁止されていたから、レスリングとは別の競技だった。
 英国のレスリングでは殴り合いはなかった。パンチはもちろん、空手チョップなども禁止だったようだ(第1次世界大戦以後のプロレスは別)。ただし蹴りが許される場合があった。柔道か柔術か(39)で引用した『イングランドにおけるレスリング略史』の一部。

 昔からイングランドのレスリングには二つの中心があった。一つは南西部地方でデボンシャー・コーンウォール・スタイルが発達し、もう一つの北部地方ではカンバーランド・ウェストモーランド・スタイルが発達した。
 19世紀前半にはエイブラハム・カン(1794?-1864)が活躍し、イングランド中の誰とでも500ポンドを賭けて戦うと宣言していた。カンはデボンシャー・スタイルのレスラーであった。デボンシャー式のレスラーは、試合中に相手を蹴るので非難された。蹴りはデボンシャーでは正当な行為でありルールで認められていたが、コーンウォールでは認められなかった。コーンウォール人の多くはデボンシャーのレスラーの相手をするのをいやがった。デボンシャー・スタイルの擁護者は、この少々乱暴なスタイルこそが古典的なのであって昔のギリシャ人も試合中に蹴り合っていたと主張するのであった。

 この蹴りは空手のような蹴りではなく、組み合ってから脛を蹴り合ったようだ。詳しくは次のサイト。http://www.legendarydartmoor.co.uk/wrest_ling.htm

Wrestling3_2

 このサイトによると、1890年代にベアリング・グールド(1834―1924)という人(シャーロック・ホームズ研究家のベアリング・グールドとは別人)が、子供時代の思い出として上のイラストのような試合を見たことを語っている。
 デボンシャーはイングランドの南部の州である。コーンウォールはその西にある州。『バスカヴィル家の犬』の舞台になったダートムアはデボンシャー州にある。

Englanddevon

|

« ボクシングとレスリング(3) | トップページ | レスリングのスタイル »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21109/37460877

この記事へのトラックバック一覧です: ボクシングとレスリング(4):

» シャーロック・ホームズのディスコグラフィー [DVD CD ブルーレイ 通販]
送料無料の通販です♪ [続きを読む]

受信: 2010年11月 3日 (水) 00時43分

« ボクシングとレスリング(3) | トップページ | レスリングのスタイル »