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2010年10月 7日 (木)

嘉納治五郎対シャーロック・ホームズ(8)

 ホームズと嘉納は互いに強い印象を受けた。のちにホームズは「凡骨は己を越えるものを理解しないが、英才は天才を知る」と言った。(注)
 ホームズは嘉納教授の下で柔術の研究を始めたと考えられる。初めて会った1889年9月から嘉納が帰国の途につく1891年1月までの間にホームズが引き受けた事件はわずかに3件だけなのである。すなわち『ウィステリア荘』『シルバーブレイズ』『緑玉の宝冠』だけであり、いずれも着手から5日以内に解決している。事件に取り組んでいる時以外は柔術研究に専念したようだ。(嘉納治五郎はずっと英国にいたのではなく、フランスやドイツにも滞在した。ホームズも同行したらしい。)
 嘉納治五郎が日本に去ってから4ヶ月後、すなわち1891年5月4日になって、シャーロック・ホームズは宿敵である悪の巨魁モリアーティ教授とライヘンバッハの断崖上で相見えることになった。

Holmesadventures1985dl

 このときのホームズはすでに柔術(ワトソンはバリツと書いた)の達人になっていたから、二人の対決がどういう結果に終わったかは、ワトソンがホームズの話として『空き家の冒険』で伝えているとおりである。

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(注)「凡骨は己を越えるものを理解しないが、英才は天才を知る」Mediocrity knows nothing higher than itself; but talent instantly recognizes genius.
  これはホームズが言った言葉ではない。ワトソンが『恐怖の谷』でこう書いているのだ。

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コメント

ホームズの「スリークオーターの失踪」に
・edge right in on to the scrum
・keep out on the touchline
なる表現が出て来ます。
ラグビー用語であろうことは想像がつきますが
どういう意味でしょうか。
ご教示賜りたく。

投稿: ころんぽ | 2010年10月14日 (木) 20時58分

he always edges right in on to the scrum instead of keeping out on the touchline.「スクラムに割り込むのは得意でもタッチラインを独走というわけにはいきません」が日暮雅通訳で、これは「天才」高山宏訳の踏襲です。
私はラグビーはよく知らないけれど、たぶん誤訳でしょう。ハーフはスクラムに「割り込む」ものだろうか? keep out onから「独走」の意味が出るか?割り込む能力はあるが独走の能力はないという「能力」の問題か? 
 調べないで書くので間違っていたら済みませんが、「スリークォーターらしくスクラムから離れてタッチライン沿いに立ってパスが出るのを待つのではなくて、元来がハーフだからスクラムに密着した位置に立つ傾向がある(だから足の速さを別にしてもトライにつながらない)」というような意味ではないでしょうか。

投稿: 三十郎 | 2010年10月14日 (木) 21時40分

難しいです。
直訳すると「タッチラインを割らずに、スクラムにまっしぐらに突進する」ですかね?
ラグビーのルールがわからないのでちんぷんかんぷんです。

投稿: ころんぽ | 2010年10月14日 (木) 22時11分

edge in=詰め寄る right=強調の副詞で「ぴったりと」 on to the scrum=スクラムに(くっついて)
keep out(of the scrum)=(スクラムから)離れている on the touchline=タッチライン沿いに
ハーフは「スクラムハーフ」と「スタンドオフ」の二人。どちらもスクラムのすぐ近くにいる(スクラムには割り込まない)。スクラムから出るボールを取るのがスクラムハーフ、スタンドオフはスクラムハーフからパスを受ける。スリークォーターはスタンドオフからパスを受ける。細かく分ければセンターと左右ウィングで、タッチライン沿いにいる俊足のウィングがセンターからパスを受けてトライを決める。
ポイントはkeep out (of the scrum)の省略が読めるかどうかでしょう。
keeping out on the touchlineは省略があると考えないと意味が取れないはず。

投稿: 三十郎 | 2010年10月15日 (金) 05時53分

いやいやなかなかの御仁とお見受けいたしました。やはり世の中にはいるのですね。妙なところに少々こだわってみたい方が。
だいたい大の大人がホームズなんぞに喜びを感じるのも妙なもので、私も数回シャーロッキアンの集まりに参加しましたが、
まあ相当暇な連中だと...。そうしたら横溝正史研究という集まりもありオッチョコチョイの手前もいそいそと出かけ、神戸の
記念碑にまで行ってまいりました。...パロディ、パスティーシュ、ホークス...楽しいものですね。
これからも覗かせていただきます。よろしくお願いいたします。
私もホームズにはいささか。ブログを見ていただければ光栄に存知ます。
http://kenproduction.jp/blog/category/s-holmes-diogenes-club/
吉本研作
〒650-0024 神戸市中央区海岸通3-1-1 KCCビル4F
PHONE 090-3992-3984
E-mail kenpro@nifyy.com
URL http://www.kenproduction.jp
BLOG http://kenproduction.jp/blog

投稿: Ken Yoshimoto | 2011年8月25日 (木) 15時14分

吉本様、ブログ拝見。紳助の事務所の人かと思ったら違うのですね。さすがにデザインのセンスが違う。こちらからも訪問させていただきます。

投稿: 三十郎 | 2011年8月25日 (木) 17時08分

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