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2011年1月14日 (金)

スネークピットについて(6)

 英語の問題が大きい。catch-as-catch-canが日本人には分からないし、現代の英米人でも分からない人がいる。
 1908年のロンドン五輪では、グレコローマンとキャッチ・アズ・キャッチ・キャンの二種類のレスリングが行われた。
 国際レスリング連盟(Fédération Internationale des Luttes Associées)は1912年、ストックホルム五輪直前に結成された。ルールはフランス語で、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンはlutte libreとなり、再英訳の「フリースタイル・レスリング」が正式名称になった。ところがその後も「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」の方を使う人がかなりいた。日本で一昔前まで老人が「活動写真」や「省線」などの言葉を使ったのと同じだ。あるいは講道館柔道のことを「柔術」と呼んだのと同じか。
 OEDにはcatch-as-catch-canはthe Lancashire style of wrestlingだと書いてある。1957年版のエンサイクロペディア・ブリタニカから取った例文がある。

The Lancashire style, generally known as catch-as-catch-can, is practised in Lancashire, throughout Great Britain generally, and is the most popular style in the United States, Canada, Australia, Switzerland.

一般にキャッチ・アズ・キャッチ・キャンとして知られるランカシャー・スタイルは、ランカシャーと英国全体で行われ、合衆国、カナダ、オーストラリア、スイスでもっとも人気があるスタイルである。

 これはブリタニカ旧版である。現在の版ではcatch-as-catch-can wrestlingの項目に

Formerly known as the Lancashire style in England, catch-as-catch-can became the most popular form of wrestling in Great Britain and the United States and, with slight modifications, was introduced into Olympic and international competition as freestyle wrestling.

かつてはイングランドでカンカシャー・スタイルとして知られていたが、キャッチ・アズ・キャッチ・キャンは英国と米国でもっとも人気があるレスリングの形式となり、わずかな修正を加えてフリースタイル・レスリングとしてオリンピックや国際大会に導入された。

 日本人で「省線」を知らない人がいるように、英米人でも「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」の本当の意味を知らない人がいるのだ。
 ロイ・ウッド氏のサイトの英語は、辞書や百科辞典に載っている標準英語から逸脱している。http://darrenwoodwigan.co.uk/aowc/page5.html たとえば

The style of wrestling was Lancashire Catch as Catch Can also known as Submission.(どう訳せばよいか?)

 別のものを混同している。英国プロレスには記録を残す文化がなかったからだろう。階級の問題なのだ。 

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