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2011年1月15日 (土)

スネークピットについて(7)

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 ボクシングでは、たとえば18世紀末にイングランドのチャンピオンだったユダヤ人、ダニエル・メンドーザはThe Art of Boxingという本を書いて広く読まれた。メンドーザをはじめ主要なボクサーについては伝記が書かれ、誰がいつどこでどういう試合をしたかが分かっている。

 柔術では、ロンドン武道会を創立した小泉軍治は英語で柔術の本を何冊か書いた。谷幸雄も上西貞一も、英国人に手伝わせたのだろうが、英語で柔術の本を書いている。小泉軍治には英国人の書いた伝記がある。

 北辰一刀流の千葉周作は上州で馬庭念流と戦ったとき、いつどこで誰と試合してどういうふうに勝ったか詳細な記録を残している。これをもとに司馬遼太郎が『北斗の人』を書いた。

 日本人はプロレスでも記録に残そうとする。ジャイアント馬場の下で前座をやっていたレスラーのインタビューなんてものまで『Gスピリッツ』に載っている。
 英国では階級によってするスポーツが違い、記録に対する態度が違う。
 階級の違いは話す英語に現れる。キャメロン首相の英語とベッカムの英語は違う。サッチャー首相は父親が食料品店主で「中流の下」の出身だったから、英会話学校に通って「中流の上以上の英語」に発音を直したという。
 日本には階級がないから英国の事情が分からないことがある。
 炭鉱労働者の町ウィガンの記録を残したのは、パブリックスクールを出たジョージ・オーウェルである。

 ウィガンの労働者たちは余暇にレスリングをしたが、黙々とトレーニングをして記録を残さなかったし、サブミッション技の起源などには無関心だったようだ。
 武道会で柔術/柔道を学んだ中流以上の階層は「起源」にも関心があった。「日本文化を学ぼう」という気を起こす人もいた。

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[外人女性初の黒帯サラ・マイヤー女史、右は八田一朗氏の母親。http://judoinfo.com/mayer.htm]
 
「キャッチ・アズ・キャッチ・キャン」をめぐる混乱には階級の問題がある。ボクシングにはクインズベリー侯爵やコナン・ドイルが関わったが、レスリングにはそういう人がいなかった。プロレスはあくまで労働者階級のスポーツで、記録を残す文化がないのが日本との違いだ。

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