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2011年3月30日 (水)

ボクサー弾を百発(8)

 昨日書いたことに一つ間違いがあった。
「この定義では、一つの銃に二つの引金、secondary triggerとmain triggerとがあるように読める。そんな銃はない。」
 下線部が間違い。ありました。

Double_set_triggers

 しかし「OEDの記述が間違っている」というのは間違いではない。上図のような引金は(double) set triggersという。前のが主引金、後ろが補助引金である。あらかじめ後ろの引金を引いておくと前の引金が軽くなる。19世紀後半にライフル銃にこういう引金をつけることがあった。
 ヘアトリガーはこれとは違う。二重ではない引金の内部メカニズムを調整してごく軽く引けるようにしたものだ。
 ふつうの拳銃の引金は安全のためある程度重くしてある。自動拳銃では、軽いものでも2kgくらいの力をかけないと引けない。
 ホームズやワトソンが使うのは、ダブルアクションの回転式拳銃(リヴォルヴァー)である。これはもっと引金が重い。
 
F2_revolver_hammer_cocked_2  

  リヴォルヴァーの撃鉄(hammer)を起こして(cockして)引金を引いたところ。このあと撃鉄が倒れて拳銃の内部で撃針が雷管を叩き弾が発射される。撃鉄がcockedの状態にないと撃てない。ワトソンはよく「拳銃をcockして」と書いている。たとえば

「すべて終わったということだ。結局、これが一番よかったのかも知れない。拳銃を取りたまえ。ロイロット博士の部屋へ入ろう」
 ホームズは厳しい顔でランプをつけ、先に立って廊下を進んだ。部屋のドアを二度叩いたが中から返事はない。Then he turned the handle and entered, I at his heels, with the cocked pistol in my hand.

 ワトソンが撃鉄を起こすのは引金を軽くするためだ。シングルアクションならば一々親指で撃鉄を起こさなくては撃てない。

Carrysingleactionrevolver800x800

 当時の英国の軍用拳銃はダブルアクションのリヴォルヴァーである。力を込めて引金を引けば倒れている撃鉄が起きて(cockedの状態に戻って)撃てる。引金さえ引けば連発で撃てるからダブルアクションという。しかしあまりに引金が重くては命中率が悪くなるから、余裕があればシングルアクションのようにあらかじめ撃鉄を起こしておくのだ。

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