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2011年4月27日 (水)

ボクサー弾を百発(11)

 シャーロック・ホームズ(1854―)とほぼ同時代に室内拳銃射撃をしていたのは、アーサー・コナン・ドイル(1859―1930)の友人だった医師のジョージ・バッドである。
 ドイルは1881年にエディンバラ大学医学部を卒業し、しばらくアフリカ航路の客船の船医をしたが、1882年に悪友ジョージ・バッドのパートナーとしてプリマスで開業した。バッドとはすぐに喧嘩別れして、それが小説家コナン・ドイルの誕生の契機になったのだった。
 バッドは色々奇抜な発明をしていた。その一つに「制海権獲得装置」があった。これは要するに強力な電磁石で、敵の撃ってくる砲弾を全部引きつけてしまえばよいというのである。

「未来の軍艦は船首と船尾に磁石を装備する。……いや、別に筏を作って俺の装置を載せる方がいいかな。船が作戦行動に入る。するとどうなると思う、ドイル。相手が何発撃ってきても全部磁石に引き寄せられてぴしゃりとくっついてしまう。筏の下には回収装置を付けておいて、電気回路を切ればくっついた鉄が下に落ちるようにしておく。作戦が終われば屑鉄に売ってあがりは乗組員で山分けだ。いや、そんなことよりも、俺の装置を搭載した船には絶対に敵弾は当たらんのだぞ。そのうえコストが安い。装甲なんか要らない。何にも要らんのだ。この装置さえ搭載すれば、水に浮かぶ船は全部不死身になる。未来の軍艦は一隻7ポンド10シリングもあればできる。また笑ってやがるな。磁石とトロール船と七ポンド砲が一門、これだけでどんな戦艦とも渡り合えるんだぞ」

 この装置の実験のために、バッドは弾頭に鉛の代わりに鉄を使った特製の実包を使って室内拳銃射撃をしていた。
 この室内射撃はシャーロック・ホームズと同じような拳銃を使ったはずだ、と思っていた。これはコナン・ドイル伝(7)として前に訳した。http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/7_daa7.html
 ところが読み直してみると間違いがある。翻訳が間違っているけれども、そもそも原文が悪いので、僕のせいじゃないのだ。

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2011年4月17日 (日)

パニックを防ぐために?

 武田邦彦先生のサイトから引用

今回の事件では「パニックを防ぐためには、ウソを言っても良い」ということで、政府、専門家、メディアが統一した行動を取りましたが、私は日本人は「事実を冷静に受け止める」という「勇気」も「謙虚さ」も持っていると思います.
http://takedanet.com/2011/04/post_9464.html

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2011年4月14日 (木)

1903年のキャッチ・アズ・キャッチ・キャン

 1903年に撮ったキャッチ・アズ・キャッチ・キャンのフィルムがyoutubeで公開されている。
http://www.youtube.com/watch?v=bIGCTyUchaY

Getdata

CATCH-AS-CATCH-CAN WRESTLING
American Motoscope Wrestling & Biograph
1903 H33648

  というタイトルは、投稿者が勝手につけたのではないと思う。
 面白いでしょう。
 この動画を見た者たちのコメントがまた面白い。たとえば

This is cool stuff, but I'm surprised not to see any submission holds or attempts. Is this really catch, or just wrestling as we see in? our high schools and colleges now? Catch nowadays is all about pain from submission holds.
carnivalwrestler 1年前

(これはクールだね。しかしサブミッションホールドが少しも見られないし仕掛けようともしないのにはビックリだ。これって本当にキャッチなのか、それとも現在高校や大学で見るただのレスリングなのか? 今日キャッチと言えばサブミッションホールドの痛みのことだ。)

 馬鹿なコメントを書くやつだ。サブミッションなんかが出るはずがないじゃないか。英語ではcatch-as-catch-can=freestyleなのだ。これはもう証明済みだ。
 柔道か柔術かという記事を(1)から(65)まで書いた。一つだけならば、柔道か柔術か(38)を見てください。http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/38-d2f6.html ここではOEDを引いて、catch-as-catch-canの定義と例文を見た。
 フリースタイルレスリングの歴史http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-d1c0.htmlでは、英連邦アマチュアレスリング協会のサイトを翻訳してキャッチ・アズ・キャッチ・キャン=フリースタイルであることを証明した。
 ところが英語が分からないのは日本人だけじゃないようだ。この動画に英語でコメントを寄せているのはたいてい英米人だろうが、全く駄目だ。英語を知らない。
 1903年は明治36年である。夏目漱石が『吾輩は猫である』を書いたのは1905年(明治38年)である。漱石デビュー前の日本語が今の日本人に読めないことがある。同じように、アーサー・コナン・ドイルが『シャーロック・ホームズの帰還』をストランド・マガジンに連載し始めたころの英語を今の英米人は読めない/読まないようだ。だからビル・ロビンソンのレスリングがキャッチ・アズ・キャッチ・キャンだと思い込んだら……

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 英語が読めない分からないだけじゃなくて、書けない英米人が多い。この動画に寄せられているコメントは、たいてい英語が間違っている。バカが意見を言うようになった(©小谷野敦)のは日本だけではない。この動画を見れば中学生か高校生くらいの少年のアマレスの試合だとすぐ分かるはずなのに、昔のプロレスはどうこうなどと書いている奴がかなりいる。お前らの目は節穴か?
 
 おまけ。もっと古い19世紀のレスリングの映像。Ringkämpfer(レスラー)1895年 http://www.youtube.com/watch?v=ehdxytFM2I0&feature=related グレコローマンの模範試合でしょう。

(参考)世界中の研究者がしのぎを削る中、初めて、商業利用に耐え得るような映写装置(手描きのデッサンではなく、実写映像を再生する装置)の発明に到達したのはアメリカのトーマス・エジソンである。この装置が商品化された1894年には、ニューヨークをはじめとする合衆国内の主要都市とパリ、ロンドンにキネトスコープパーラーもオープンし、大成功を収めている。http://www.geocities.jp/sakushiart/eiga.htm

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2011年4月13日 (水)

少量の放射能はむしろ有益?

 と言うのだけれど、本当だろうか? Japan Business Pressのサイト http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5846 以下によれば、放射線の「ホルミシス効果」というものがあるのだそうだ。
 ラドン温泉、ラジウム温泉というものがある。

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 以下http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5846?page=4 から引用
 
 自然界の100倍の放射線が最も有益

 放射線ホルミシス効果を最初に提唱したのは、ミズーリ大学教授トーマス・D・ラッキー博士だそうだ。
 NASA(航空宇宙局)より、宇宙飛行士への放射線の影響についての調査依頼を受けたラッキー博士は10年以上の歳月をかけて研究を続け、高レベルの放射線は生体に有害であるが、低レベルの放射線は有益であるという「放射線ホルミシス」現象を発見した。
 ラッキー博士によると、「最も理想的な環境は自然放射線の100倍」の約100ミリシーベルト/年、時間当たりの線量率に換算すると、274マイクロシーベルト/日、1時間当たりでは11.4マイクロシーベルトの線量を四六時中受けるのが理想だという。(引用終わり)

 新聞では

放射線、年100ミリシーベルトで人体に影響 (日経3月12日)
放射線対策 健康への影響、100ミリ・シーベルトが目安 (読売 3月22日)
人体への影響は? 放射線100ミリシーベルトから健康被害 (産経 3月15日)

 ラッキー博士の説は正しいのか? 
 私は来月CTスキャンを受ける予定だ。1回の被曝量は6.9ミリシーベルトだそうだ。十数年前には手術の前後に何度も続けてCTスキャンを受けて、たぶん年間100ミリシーベルトくらいは被爆しているはずだが……

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2011年4月12日 (火)

ボクサー弾を百発(10)

 ホームズが愛国的頭文字を描くのに使った拳銃は、45口径か38口径で六連発のリヴォルヴァーだろう。ふだん使うのと同じ型のをもう一挺持っていて、これに細工してヘアトリガーにしたのだ。
 弾丸(カートリッジ)も特別のものを使った。これはワトソンが書いていないから詳しいことは分からない。
 しかし同時代に同じように室内射撃をした例があるから、そちらを見ればホームズの場合も分かる――という見込みだった。
 ところが、そう簡単に行かない。この室内射撃の話は私が前に訳したのだが、少々誤訳がある。これは訂正すれば済むが、原文が間違っている。しばらく脇へ置いておくしかない。
 ホームズが使ったカートリッジはどう特別だったか? 
 結論から言えば、「狭窄弾」だったはずだ。

きょうさくだん〔狭窄弾〕
〈名〉A miniature cartridge
◆狭窄弾射撃 miniature cartridge practice 

 昭和3年(1928年)刊のこの辞書には狭窄弾という項目がある。戦前の日本陸軍では狭窄弾射撃の訓練をしていた。ふつうの小銃射撃訓練は200mから600mくらいの距離で行う。もちろん日本陸軍でもこれは実施したが、射撃場を確保するのが大変だった。小銃弾は1000m以上飛んだ後でも殺傷力があるから、流れ弾が心配だったのだ。狭窄弾射撃は15mの距離で行う。狭窄弾は装薬の量を大幅に減らしてある。銃弾は放物線を描いて飛ぶので、数百メートルの距離では弾道のドロップが問題になる。装薬の量が多ければ多いほど弾道は直線に近づき(低伸性が高くなり)ドロップが小さくなる。しかし15mの距離ならば弾道のドロップは考慮しなくてよいので、装薬の量を極端に減らすことができるのだ。
 日本陸軍の三八式歩兵銃の狭窄弾は工場製だった。

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http://blog.livedoor.jp/ak43j/archives/cat_75814.html

  シャーロック・ホームズの拳銃の場合は、ボクサー式雷管付き実包を使っていた。これは薬莢の再利用が容易だという特長があるのだった。ホームズは一度使った古い薬莢から雷管を抜いて新しいのに換え、ごく微量の装薬を詰め、新しい弾頭をつけて狭窄弾を作ったに違いない。ところが狭窄弾miniature cartridgeという言葉はあまり知られていない。ワトソンも知らなかったので、Boxer cartridgeという言葉を使ってしまったのだろう。雷管がBoxer式でなくBerdan式ならばホームズが自分で狭窄弾を作ることはできなかったのだから、Boxer cartridgeは当たらずと言えども遠からずだ。
 狭窄弾を使えばVRの文字をきれいに描くことができる。強力な拳銃弾を使って壁に大穴を開けたりすれば、いくらハドソン夫人がlong-suffering womanであっても、ホームズは下宿を追い出されるだろう。

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2011年4月 1日 (金)

日本の原発技術が世界を?

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