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2011年5月11日 (水)

ボクサー弾を百発(14)

「遊底を引く」動作があるのは、自動拳銃の場合である。Slideが遊底。

Rstar10

Into the breech I place a Boxer cartridgeを丁寧に訳せば
「銃尾にボクサー弾を込める」であるが、単に「ボクサー弾(or狭窄弾)を込める」でよいと思う。
「銃尾に込める」という言い方が古い英語なのである。19世紀には、まだ銃口から弾を込める前装式の銃の記憶があった。銃尾から弾込めする後装銃は新式だった。(前装銃 muzzle-loader  後装銃 breechloader)
 オルダーショットのロイヤル・マロウズ連隊のバークレー大佐が殺害されたと見られる事件をシャーロック・ホームズはどう説明したか。

「ロイヤル・マロウズ連隊というのは、君も知っての通り、英陸軍でもっとも有名なアイルランド連隊の一つだ。クリミア戦争とインド大反乱で驚くべき功績を挙げ、以来機会あるごとに名声を高めている。月曜日の夜まで連隊長を務めていたのが、勇敢なる老兵ジェイムズ・バークレー大佐だ。彼は一兵卒から身を起こし、インド大反乱のときの武勲で将校に昇進した。かつて自分がマスケット銃をかついでいた連隊の指揮を執るまでになったのだ」

 インド大反乱(1857―58)のときの英軍のマスケット銃は、1853年式エンフィールド銃である。口径15mmの弾丸を銃口から込めた。この銃が1853年から1867年まで制式銃だった。この後は前装式のマスケット銃ではなく後装式のライフル銃が制式になるのだが、コナン・ドイルやシャーロック・ホームズが子供のころは、小銃でも拳銃でも銃口から弾を込めるものだった。だから、わざわざ「銃尾に弾を込める」という言い方をしたのだろう。

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