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2011年8月 3日 (水)

待ち時間(2)

 それからは書いた小説は全部ジェイムズ・ペインに送ったが、6篇のうち5篇は没になった。あいにくペインの字はほとんど読解不能であったから、手紙が着いてから原稿自体が送り返されてくるまでの間、ドイルはうまく行ったのかどうかと思い悩むのだった。コーンヒル・マガジンにはさらに2篇が載り、ブラックウッド・マガジンにも1篇が載った。しかし彼は依然として無名作家であった。単行本の表紙に名前が出なければだめだと思ったから、小説を一冊書いて題は『ジョン・スミスの話』とした。ところが出版社へ送った郵便が失われてしまったのである。後年ドイルは「確かに無くなったと聞いたときのショックは大きかったが、仮に今印刷した形で出現したりしたら比べものにならないほど大きなショックを受けるだろう」と書いている。伝記作家としては本人の意見だが賛成することはできない。題名だけを見ても自伝的なものだと分かるし著者も「個人的社会的政治的なもの」で「名誉毀損すれすれ」だと言っているから、郵便局が何度も「探しましたが発見できませんでした」と報告しているのを、我々としては(本人と違って)有り難いなどと思うことはできないのだ。
 紛失のショックにめげたりはせず、ドイルは1884年に別の小説『ガードルストーン商会』に取りかかった。これが今に残る彼の一番早い長篇小説であるが、出版されたのはもっと後で(1890年)、別種の小説で名を挙げてからのことである。
(p.p.74-5)

  ところが無くなったと思われていた『ジョン・スミスの話』の原稿が見つかった。2004年5月19日、クリスティーズのオークションでコナン・ドイル関係文書が売り出され、その大部分を大英図書館が落札した。その中にこの原稿があったのだ。
http://sanjuro.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_d12c.html

 この原稿の写真はRandall Stock氏のサイトhttp://www.bestofsherlock.com/ref/narrative-john-smith-ms.htm
 で見ることができる。のだけれども、コピーさせてもらう。

Narrativejohnsmithmanuscript

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