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2011年8月 2日 (火)

待ち時間(コナン・ドイル伝 第5章)

 奇妙な奇怪な話ばかりが1878年から1883年の間にドイルによって書かれた。そのうちのいくつかは少年向け青年向け雑誌の編集部に受け入れられた。3ギニーか4ギニーが原稿料の平均で、年間の合計が15ポンドを超えることはなかった。1883年になって「よい出版社」に巡り会い、はじめて認められたと感じた。『ハバクーク・ジェファーソンの陳述』がコーンヒル・マガジン編集長のジェイムズ・ペインに受け入れられたのだ。原稿料は29ギニーだった。この雑誌の記事は筆者の名前を示さないことになっていたが、一時はサッカレーが編集長だった雑誌に作品が載った喜びを隠してはおけなかった。しばらくして街で友人に後ろから呼び止められた。相手はロンドンの夕刊を頭上に振り回している。「コーンヒルの小説の書評は読んだかい?」
「いや、まだだ。なんと書いてある?」
「これだよ。これ」
 興奮し得意だったが何とか慎ましそうな顔をして、ドイルは友人の肩越しに記事をのぞいた。「コーンヒルの今月号巻頭の小説はサッカレーが化けて出るような代物である……」何年も後になってこのときのことを語ったとき、ドイルはこうつけ加えている。「あいにく周りには証人になる者が何人もいたしポーツマスの法廷は傷害罪には特に厳しかったから、友人は無事に逃げおおせた」しかし別の批評には、この小説はひょっとしてR・L・スティーブンソンが筆者ではないかとあったので、大いに慰められた。(続く)

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